「健康寿命は、日々の小さな選択の積み重ねで決まる。」― 老化は誰にでも起こる自然な変化ですが、その進み方や、年齢を重ねてからの元気さには大きな個人差があります。本書は、老化研究の最新知見をもとに、「老い」の正体から身体の変化、認知症予防、健康長寿の生活習慣までを、豊富な図解と親しみやすいネコのキャラクターで解説した一冊です。

本日紹介するのは、フリーランスのライター・編集者として活動する一方、40代から大学院で老年学を学び、博士号を取得。夫の両親の認知症をきっかけに別居介護のキーパーソンとなった経験を持ち、現在は老年学者・介護ジャーナリストとして、介護・医療、中高年期の起業や働き方、社会関係などを研究・発信している島影真奈美さんが書き、2008年に慶應義塾大学医学部を卒業後、国内の病院で総合診療に従事し、2015年に渡米、現在は米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学・緩和医療科医師として、高齢者医療の診療・研究に携わる米国老年医学・内科専門医、医学博士山田悠史さんが監修した、こちらの書籍です。

島影真奈美 著・山田悠史 監修『健康長寿 解剖図鑑』(エクスナレッジ)

 

本書は、老化を単なる身体の衰えとして捉えるのではなく、細胞や遺伝子、生活習慣、社会とのつながりなど、さまざまな要因が関係する複雑な現象として解き明かしています。

 

本書は以下の6部構成から成っています。

1.「老い」の謎に迫る最新研究

2.健康長寿と老いの基礎知識

3.カラダの老いと変化

4.ズボラでも元気で長生きできる10ヶ条

5.認知症リスクを高める12の行動

6.超高齢社会の歩き方

 

本書の前半では、最新の老化研究と、健康長寿を考えるうえで必要な基礎知識が紹介されています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 老化は単純に年齢だけで決まるものではなく、遺伝子の働きや生活環境によって進み方が変わる

◆ DNAの修復機能の低下やミトコンドリアの働きが、身体の老化と深く関わっている

◆ 細胞内の不要な物質を処理するオートファジーも、健康維持や老化に影響を与える

◆ 暦年齢とは別に、身体の状態を表す「体内年齢」という考え方がある

◆ 健康寿命を延ばすには、要介護状態の前段階であるフレイルを早期に予防することが重要になる

 

この本の中盤では、身体の各部位に現れる老化の変化と、元気で長生きするための生活習慣が具体的に解説されています。主なポイントは次の通り。

◆ 加齢によって筋肉量が減少するため、下半身を中心に筋力を維持することが健康長寿につながる

◆ 脳の老化を遅らせるには、運動、睡眠、学習、人との交流を続けることが大切である

◆ 腸内環境や排便の状態は、高齢期の健康を考えるうえで重要な指標になる

◆ 痩せすぎはフレイルのリスクを高めるため、高齢期には適度な体重と栄養を保つことが必要になる

◆ 歯や口腔機能を守り、好きなことに熱中することが、心身の健康維持につながる

 

本書の後半では、認知症リスクを高める行動と、超高齢社会を自分らしく生きるためのヒントが紹介されています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 認知症には発症前のグレーゾーンがあり、早期の生活改善が重要になる

◆ 運動不足、過度な飲酒、閉じこもりなどの生活習慣が、認知症リスクを高める可能性がある

◆ 視力や聴力の低下を放置すると、人との交流が減り、認知機能にも影響を与えやすい

◆ 高齢になっても、できないことではなく「残っている能力」に目を向けることが自立につながる

◆ 実年齢より若いと感じる「主観年齢」や、仕事・趣味・社会参加への意欲が、健康長寿を支える

 

本書の魅力は、老化を必要以上に恐れさせるのではなく、「老いの仕組みを知れば、今からできることが見えてくる」という前向きな姿勢で書かれている点です。

差をつくるのは、特別な若返り法や高価な健康商品ではなく、日々の食事、運動、睡眠、口腔ケア、社会参加といった小さな習慣の積み重ねです。

また、本書では「健康診断や検診を過信しない」という視点も示されています。健診を受けることは大切ですが、数値が正常だからといって、健康がすべて保証されるわけではありません。

認知症についても、発症を完全に防ぐ方法が確立されているわけではありません。しかし、運動、社会交流、視力・聴力のケア、飲酒の見直しなどによって、リスクを下げられる可能性が示されています。

認知症を過度に恐れるのではなく、予防できることに取り組み、仮に認知機能が低下しても、残された能力を活かして暮らすという考え方が大切なのだと思います。

私自身も、定年後のライフスタイル「住む場所」「付き合う人」「時間配分」の三つで決まると考えています。健康長寿も同じように、どのような環境で暮らし、誰と関わり、何に時間を使うかによって大きく変わるでしょう。

老いの仕組みを科学的に理解したい方、認知症やフレイルを予防したい方、親の健康が気になり始めた方、そして人生後半を元気で充実して過ごしたいすべての方に、ぜひ読んでほしい一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【4176日目】