「もし人生の中年期――30代後半から50代のどこか――に差しかかっているのなら、人生の黄金時代が待っている。」― 人生前半で仕事や経済面の「成功」を手にしても、なぜか満たされない。そんなときに必要なのは、これまでの延長線上を走り続けることではなく、いったん立ち止まり、人生後半の「ゲーム・プラン」をつくり直すことです。その転換期を「ハーフタイム」と名づけ、「成功」から「意義」へ人生をシフトする方法を説いた世界的ベストセラーがあります。

本日紹介するのは、1939年米国オクラホマ州生まれ、テキサス大学オースティン校を卒業し、ハーバード・ビジネス・スクールのオーナー・マネジメント・プログラムを修了、ビュフォード・テレビジョンCEOとしてCATV企業を全国規模へ成長させた後に社会事業家へ転身し、ピーター・F・ドラッカーと23年間にわたって交流しながら、リーダーシップ・ネットワークやピーター・F・ドラッカーNPO財団など非営利組織の設立・マネジメント支援に携わった、ボブ・ビュフォードさんが著した、こちらの書籍です。

ボブ・ビュフォード『ハーフタイム:「成功」から「意義」へ人生をシフトする』(東洋経済新報社)

 

著者自身、人生の前半戦では大きな成功を収めていました。会社は成長し、経済的にも恵まれ、燃え尽きや挫折を経験したわけでもありません。

それでも中年期に差しかかったとき、「何か物足りない」という、かすかな声が聞こえてきたと言います。そこで著者は、人生をスポーツの試合になぞらえて考えます。

人生には「前半戦」があり、「後半戦」がある。そして、その間には一度ロッカールームへ戻り、前半を振り返り、後半の戦い方を考える「ハーフタイム」が必要なのです。

重要なのは、前半戦を否定することではありません。前半戦で培った経験、人脈、知識、資産などを生かしながら、人生後半では目的そのものを変えていく。

その核心が、「成功(Success)」から「意義(Significance)」へのシフトです。

本書は以下の3部構成から成っています。

1.前半戦
第1章 かすかにささやく声
第2章 転回の時
第3章 探索と自助の季節
第4章 成功が苦悩に変わるとき
第5章 熱源はどこにある
第6章 「さらば、ロス」

2.ハーフタイム
第7章 前半戦の棚卸し
第8章 何を心から信じているか
第9章 「たった一つの何か」
第10章 偉大なるシフト――成功から意義へ
第11章 重心を見つけ、そこにとどまれ
第12章 現状にとどまり、ゲーム・プランを調整する
第13章 「セカンド・カーブ」を立ち上げる
第14章 未知への跳躍

3.後半戦への跳躍
第15章 人生の使命
第16章 自分の人生を取り戻す
第17章 良き個人主義
第18章 生涯学び続ける
第19章 敬意をもって目を外界に向けよ
第20章 一つひとつのプレーにベストを尽くす
第21章 お金の問題
第22章 50/50の法則

 

本書の前半では、人生前半の「成功」を見直す必要性について、以下のポイントを説明しています。

◆ 仕事で成功していても、中年期には「何か物足りない」という感覚が生まれる

◆ 中年期を「危機」ではなく、より良い人生へ転換するチャンスとして捉える

◆ これまで追い求めてきた成功が、本当に自分の望んだものだったのかを問い直す

◆ 自分を動かしてきた「熱源」がどこにあるのかを改めて探していく

◆ 人生後半へ進む前に、いったん立ち止まる「ハーフタイム」が必要になる

 

この本の中盤では、「ハーフタイム」で人生を棚卸しする方法について解説しています。主なポイントは次の通り。

◆ これまでに得たもの、失ったもの、培った能力や経験を棚卸しする

◆ 「自分は何を心から信じているのか」という価値観を確認する

◆ 人生後半で最も大切にしたい「たった一つの何か」を見つける

◆ 「もっと成功する」から「より意義あることをする」へ目的を転換する

◆ いきなりすべてを捨てず、現状を生かしながら「セカンド・カーブ」を準備する

 

本書の後半では、人生後半戦を生きるための考え方について考察・提言しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 人生後半では、自分なりの「使命」を明確にする

◆ 他人の期待ではなく、自分自身の人生を取り戻す

◆ 年齢を重ねても学び続け、社会との接点を持ち続ける

◆ お金を目的ではなく、意義ある人生を支える手段として考える

◆ 前半戦で得たものを、自分だけでなく社会にも生かしていく

 

本書を読んで最も印象に残ったのは、人生後半戦は前半戦の「残り時間」ではないという点です。

30代後半から50代は、キャリアの終盤へ向かう時期ではなく、人生後半のゲーム・プランを考える「ハーフタイム」になり得ます。その際に大切なのは、前半戦をすべて捨てることではありません。

仕事で培った専門性、人脈、信用、経験を棚卸しし、それらを人生後半で何のために使うのかを考える。それが「成功から意義へ」のシフトなのでしょう。

とくに印象的なのが、「セカンド・カーブ」という考え方です。第一のキャリアが終わってから次を考えるのではなく、まだ順調なうちから次の人生を準備していく。

人生100年時代には、この発想がますます重要になります。人生後半戦のテーマは、「もっと手に入れる」ことから「何を残し、何に貢献するか」へ。

この考え方は、私が著書『定年後不安』(角川新書)や『定年ひとり起業』シリーズ三部作(自由国民社)にて提唱している「トリプルキャリア」と同じコンセプトです。

40代、50代でこれからの働き方に迷っている人、定年後のキャリアを考えている人、そして仕事では一定の成果を上げたものの「このままでいいのか」と感じている人に、ぜひ読んでほしい一冊です。

YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、ひとり起業、資産形成やライフスタイルなど、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。

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では、今日もハッピーな1日を!【4229日目】