書評ブログ

『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』

「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界経済が大混乱し、各国の主要市場で株価が暴落した。企業倒産や失業者の増加に対する懸念が急速に高まっている。」と警鐘を鳴らしている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1942年、米アラバマ州生まれ、米イエール大学(歴史学専攻)卒業後、英オクスフォード大学(哲学・政治学・経済学専攻)を卒業、1973年にジョージ・ソロスと共同でクォンタム・ファンドを始め、驚異的なリターンを生んで脚光を浴びた後、37歳で引退して世界各地を旅行する冒険投資家として活動を続けて数々の世界経済予測を的中させているジム・ロジャースさんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

ジム・ロジャース『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』(日経BP社)

 

 

この本は、今起きている危機と、その予兆はどのように見えていたのか、歴史を振り返ると、過去の経済危機の際に何が起き、人々の生活にどのような影響を与えたのか、危機が起きた際に個人や企業はどのように行動すればいいのか、世界はどこへ向かうのかについて、著者の考えを述べた書です。

 

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

 

1.リーマンを超える危機が到来する必然

 

2.過去の危機では何が起きたのか

 

3.危機の際にどう行動すべきなのか

 

4.お金持ちになるために大事なこと

 

5.私の生き方

 

6.世界はどこへいくのか

 

7.未来の正しい見方-社会の常識を疑え

 

 

 

この本の冒頭で著者は、2019年に著者が「2008年のリーマン・ショックを超える金融危機が迫っている。」と言っても信じない人が多かった、と述懐しています。

 

 

 

歴史を振り返ると、バブルは常にはじける、と著者は述べていて、すでにラトビア、アルゼンチン、インドなどの経済は危機になっていた、ということです。

 

 

 

さらに、今回の経済危機がリーマン・ショックと違う点は、中国も借金漬けになっており、米国、ヨーロッパ、日本、アジア各国など、加速する無制限な金融緩和によって、借金のスノーボールがどんどん大きくなっている、ということです。

 

 

 

さらに、貿易戦争による経済対立が、戦争に発展する可能性を否定できない、と警告しています。

 

 

 

続いて本書の前半では、過去の危機では何が起きていて、危機の際にどう行動すべきかが解説されています。ポイントは以下の通り。

 

 

◆ 瞬く間に世界中に広がった危機

 

◆ 危機の最大の犠牲者はミドルクラス

 

◆ 今回の危機のインパクトははるかに大きくなる

 

◆ すべての常識は15年で劇的に変わる

 

 

 

◆ みんなが失敗している時こそチャンスがある

 

◆ 危機が起きた時に持っておくべき資産は米ドル

 

◆ 逆境で生まれる投資チャンス

 

◆ 間違いをそのままにすべきでない

 

 

 

この本の中盤では、お金持ちになるために大事なこと、および著者の生き方が紹介されています。私が共感する点は以下の通りです。

 

 

◆ 株式インデックスへの投資は有効な手段

 

◆ 40失敗しても、3つ成功すればいい

 

◆ 世界は多面的に読み解いた方がいい

 

◆ 1つの情報源に頼るべきではない

 

 

 

◆ 人生において失敗することは重要だ

 

◆ 準備ができていれば幸運をつかみやすい

 

◆ 忍耐して、粘り強く、勉強するのが大事

 

◆ 経営学より、歴史や哲学の方が人生に役立つ

 

 

 

本書の後半では、世界はどこへ行くのか、そして未来の正しい見方について、著者の考えを提示しています。ポイントは次の通りです。

 

 

◆ 世界経済の重心は東へと動いていく

 

◆ 香港の暴動は自滅に繋がる、インドの先行きには悲観的

 

◆ 朝鮮半島にはチャンスがある

 

◆ ブロックチェーンはすべてを変える技術

 

 

 

◆ MMT(現代貨幣理論)はタダで食事を配るような考え方

 

◆ ベーシックインカムの議論はバカげている(競争やインセンティブが社会には必要)

 

◆ 欧米のメディアの見方が正しいとは限らない、中国から得たインスピレーション

 

◆ マリファナにも投資チャンスがある

 

 

 

著者のジム・ロジャースさんの世界の見方は、とにかく多面的で、欧米先進国の先入観に影響されず、逆張りの長期投資という大胆な発想が参考になります。

 

 

 

中国や朝鮮半島への高い評価の一方、インドや日本には厳しい見通しで、かつマリファナの合法化によるビジネス拡大など、普通のエコノミストとは違った視点の予測が興味深く、全てを受け入れることは抵抗がありますが、一つの見方として知っておくべきでしょう。

 

 

 

あなたも本書を読んで、新型コロナウイルスが端緒となった「危機の時代」における著者の考えを学び、経済とマネーの未来について考察してみませんか。

 

 

 

2020年10月18日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第159回】伝説の投資家が予測する「危機の時代」にて紹介しています。

 

 

 

 

 

毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2408日目】