書評ブログ

臼井由妃『できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?』(翔泳社)

臼井由妃さんは、1958年東京生まれで、33歳で結婚し、ガンに倒れた夫の後を継いで、専業主婦から健康器具販売会社の社長に転身した。

 

ひと工夫を重ねる独自の独自のビジネス手法にて通販業界で成功を収め、多額の負債を抱えた会社を優良企業に変えた。その躍進ぶりがメディアにも注目され、日本テレビ系 「マネーの虎」 に出演して大きな反響を呼んだ。

 

本書は、短大を卒業してから13年間、吃音のハンデもあり、まともな職業に定着できずにフリーターだった著者が、いかにして成果を挙げる経営者になっていったか、その秘訣を記した書だ。

 

臼井さんいよれば、成功する人には共通する 「シンプルな習慣」 があって、それを37のルールに整理して紹介している。そのうち冒頭の2つが、著者の信条となっていて、今も日々、実践している。以下の2つだ。

 

1.ひと工夫の積み重ねで一流になれる
2.人と会う時は本屋さんで待ち合わせる

 

「本屋さんで待ち合わせる」 というのが、まさに 「ひと工夫」 なのだが、以下の理由があるからだと言う。

 

1.相手が遅れても、本を読んでいればいいので、待つのが苦にならない
2.自分が遅れてしまう場合も、相手に退屈な思いをさせないですむ
3.屋根も空調もあるので、快適に待てる
4.待っている間に、いろんな本を読みながら、情報収集ができる
5.本をきっかけに、相手との会話もスムーズに始められる

 

著者はもう、20年以上も本屋さんでの待ち合わせを続けているらしいが、そのきっかけは偶然訪れた本屋さんで、35億円のヒット商品の種が見つかったためだ、という。

 

本書は、次の6部構成により、成功する人々のシンプルな習慣を、ルールの形で紹介している。

 

1.ヒットを生み出す発想法
2.結果を出し続ける人の仕事術
3.信頼される人の伝え方
4.お金の賢い使い方
5.1分間で劇的に変わる時間術
6.夢がかなう人の考え方

 

それぞれのルールはシンプルで、なるほどと感じるものばかりだが、実行し続けるのは意外と難しいかも知れない。その中から私が共感し、あるいはもともと日頃から実践しようとしているルールを、以下に紹介したい。

 

1.プライドを捨てて企画を拾う
2.つねに保険を考えておく
3.行列では必ず立ち止まる
4.空回りの努力も大事にする
5.重要なことは仕事中に決めない

 

6.自己紹介はフルネームでしめる
7.一言そえて知ったかぶりを避ける
8.商談には土産話を用意する
9.お茶には1分以内に口をつける
10.週末にはお金持ちの街を散歩する

 

11.一日の予定は眠る時間から組み立てる
12.締め切りを自分の武器にする
13.自分の営業時間を決める
14.商談の前は地元スーパーに立ち寄る
15.3キロやせて15分時短する

 

臼井さんは幼少期に吃音を患い、対人恐怖症に陥った経験を克服し、現在では講演活動も精力的に行っている。また、理学博士・MBA・宅建・行政書士・栄養士などの資格を短期間で取得したことでも知られている。

 

世の中で、短期間で大きな成果を挙げている人の 「成功の秘訣」 がよく分かる書で、起業家を目指す人にはぜひ読んで欲しい一冊だ。心から推薦したい。