書評ブログ

リチャード・ブラント『ワンクリック』(日経BP社)

本書はアマゾン・ドットコムの創業者でCEOのジェフ・ベゾスの伝記的な位置付けとなる書籍だ。ベゾスは、生まれながらのアントレプレナーだ。

 

プリンストン大学卒業後もインテル、アンダーセン、ベル研究所などの大手の内定を蹴ってベンチャー企業のファイテルに就職した。会社を興すことが目標だったからだ。

 

ベゾスはすぐに頭角を現わし、ウォールストリートのバンカース・トラストに転職、26歳という史上最年少で副社長となった。彼の業績は、パソコンにインストールするとバンカース・トラストのコンピューターと通信できるプログラムだ。

 

社内の多くの反対を乗り越えて実現した。バンカーではなくプログラマーとして成功したのだ。

 

その後、転機となった職場が転職先のD・E・ショーで、コンピューターで自動化した最新の取引システムをウォールストリートに売り込む会社だった。ベゾスが他人の下で働くのはショーが最後となる。

 

1994年夏に、インターネットの年率2,300%という驚異的な成長率に可能性を強く信じ、ベゾスはインターネットで本を売る会社を始めるため、D・E・ショー退職した。

 

アマゾンを起業したベゾスは、その後、天才的な経営手腕で、同社を世界トップクラスのインターネット企業に成長させていく。創業メンバーとの出会いや、立ち上げの苦労などのエピソードが本書には詳しく書かれている。

 

アマゾン急成長の原動力は、間違いなく天才経営者ジェフ・ベゾスの以下の経営哲学だ。

 

1.顧客第一主義
2.発明・再発明をねばり強く続ける (ニ者択一でなく両者とも実現)
3.長期的に考える事
4.毎日が初日(必ず新しい課題、新しい改善、新しい発明がある)

 

ジェフ・ベゾスは利益を上げる事よりも、顧客のために投資を拡大し、売上とシェアを拡大することを優先してきた。特許技術の「ワンクリック注文」や、巨大な倉庫・物流センター、システム投資などだ。

 

今後は、ブルーオリジンという新会社で宇宙旅行を安全、低価格で実現する夢に取り組んでいる。 「一歩ずつ、果敢に」がベゾスのポリシーだ。

 

現在のインターネットを核とする情報社会、グローバル社会の頂点に立つ企業:アマゾンと、世界で最も先を読めている経営者:ジェフ・ベゾスの真の姿がわかる本書をすべてのビジネス関係者に推薦したい。