書評ブログ

佐々木圭一 『伝え方が9割』 (ダイヤモンド社)

佐々木圭一氏は、大手広告代理店の博報堂で活躍したコピーライターだ。もともと人に話したり、伝えたりすることが苦手、文章やキャッチを考えることも得意でなかったという。

 

そうした著者の苦労した経験から必死に会得して、有名コピーライターになるポイントになった 「コツ」 を分かりやすく、体系立てて説明したのが本書だ。

 

まず、本書では、「伝える技術」 は先天的な才能ではなく、学べるものだと説いている。コピーライターが作る、優れたキャッチコピーも、突然ひらめいたり、天から降って湧いてくるものではなく、意識的にテクニックを使って作ったものだ。

 

著者は国の内外で、数々の広告やキャッチコピーのアワードを獲得する名誉に浴しているが、それも計算尽くされた 「伝える技術」 のなせる技ということなのだ。

 

本書で説明する、相手に依頼してイエスと言わせる技術を紹介しよう。「ノー」 を 「イエス」 に変える技術には以下の3つのステップがある。

 

1.自分の頭の中をそのままコトバにしない
2.相手の頭の中を想像する
3.相手のメリットと一致するお願いをつくる

 

次に、ステップ2の 「相手の頭の中を想像する」 ときの 「切り口」 として、次の7つが重要と説いている。

 

1.相手の好きなこと
2.嫌いなこと回避
3.選択の自由
4.認められたい欲
5.あなた限定
6.チームワーク化 (一緒にやるう)
7.感謝

 

つまり、あなたのお願いを実現させる答えは、自分の中にない。相手の中にある。

 

続けて、強いコトバをつくる過程の説明がある。世の中の情報量は、10年で530倍になっており、感動のないコトバは無視される時代になった。インターネット情報の増大が原因だ。

 

「強いコトバ」 とは、人の感情を動かすエネルギーのあるコトバのことだ。コトバがエネルギーを生むのはジェットコースターの原理と同じ、高低差をつけることだ。

 

「強いコトバ」 をつくる5つの技術は以下の通り。

 

1.サプライズ法 (!マーク活用、サプライズワードを前に入れる、など)
2.ギャップ法 (反対の言葉を使ってギャップを作り出す)
3.赤裸裸法 (自分のカラダの反応を赤裸裸にコトバにする)
4.リピート法 (繰り返しで記憶に残し、感情をのせる)
5.クライマックス法 (クライマックスワードから初めて相手の集中スイッチを入れる)

 

人を動かすのはルールではなく、感動だ。人の心を動かすエネルギーを持った 「強いコトバ」 の技術を駆使すれば、あなたも実りある人生を送れる。

 

人生が変わる衝撃的な書として、すべての方に薦めたい。