「もし、自分のために時間とお金を自由に使えるなら……?」― 子育てが一段落した50歳を迎えたとき、これからの人生をどう生きるか。長年憧れていた場所に一定期間住んでみるというのも、セカンドライフを模索する有力な選択肢です。25年以上通い続けてきた大好きな台湾で「ひとりで1か月暮らす」という夢を実行し、台南、高雄、台中、台北の4都市を巡りながら、未来の居場所を探したマンガ家の体験記があります。

本日紹介するのは、1974年生まれ、台湾に通って25年以上の「台湾マニア」で、『なつかしい日本をさがし台湾』『台湾で日本を見っけ旅』『台湾観光ツアーバスでいこう!』など台湾に関する著書を多数出版し、日本人向け情報WEBサイト「台北ナビ」ではキャラクターデザインやマンガ、グッズデザインなども担当しているマンガ家、おがたちえさんが書いた、こちらの書籍です。

おがたちえ『50歳、セカンドライフ模索中!台湾にひとりで1か月住んでみた』(だいわ文庫)

著者は、仕事・家事・育児に追われる忙しい日々を過ごしてきましたが、50歳を迎え、ひとり息子も成人したことで、自分自身のこれからの人生について考える時間が生まれます。

そこで思い出したのが、長年抱き続けてきた「大好きな台湾でひとり暮らしをしてみたい」という夢でした。旅行で何度も訪れている場所でも、「暮らす」となると見えてくる景色は違います。

安くておいしい食事、居心地のいいカフェ、街歩き、現地の人々との交流だけでなく、住まい、語学、地域とのつながり、さらには老後や葬儀まで視野に入れて、台湾でのセカンドライフの可能性を体当たりで探っています。

本書は以下の4部構成から成っています。

1.台南

2.高雄

3.台中

4.台北

 

本書の前半では、台南と高雄での生活を中心に、観光旅行ではなかなか経験できない「台湾で暮らす」という感覚について、以下のポイントを紹介しています。

◆ まず訪れた台南では民泊に滞在し、ホテルを拠点に観光地を巡る旅行とは違う、現地の日常生活に近い暮らしを体験する

◆ 朝の街を歩いたり、入り組んだ路地を探索したりすることで、観光名所だけではない台南の魅力や、ゆったりと流れる時間を味わっていく

◆ 25年以上台湾に通い続けている著者でも、「旅行する台湾」と「暮らす台湾」には違いがあり、長期滞在するからこそ見えてくる発見がある

◆ 高雄では台湾人の家庭にホームステイし、現地の人々と同じ生活空間で過ごすことで、台湾社会や家族のあり方をより身近に感じていく

◆ ボランティアにも挑戦し、単なる旅行者ではなく地域社会と接点を持つことで、セカンドライフの居場所には「住む場所」だけでなく「人とのつながり」が重要だと気づかされる

 

この本の中盤では、台中での語学留学を中心に、「50歳から新しいことを学ぶ」というセカンドライフの可能性について解説しています。主なポイントは次の通り。

◆ 台中では「50歳からの台湾語学留学」に挑戦し、年齢に関係なく、新しい言葉や文化を学ぶことそのものが人生を豊かにしてくれる

◆ 教室で学んだ言葉を街で実際に使ってみることで、語学は知識として覚えるだけでなく、人とつながり、暮らしを楽しむための道具になる

◆ 台湾で長期間暮らすなら、現地の言葉を少しでも使えることが生活の自由度を高め、人間関係や行動範囲を大きく広げてくれる

◆ 台中のグルメを楽しみながら生活するうちに、著者は観光地として訪れるだけではわからなかった街の居心地のよさに惹かれていく

◆ セカンドライフの拠点を考える際には、有名かどうかではなく、「自分が日常生活を送って心地よいか」という視点で街を見ることが大切になる

 

本書の後半では、最後の滞在地である台北での生活と部屋探しを通して、「台湾に住む」という夢をより具体的に検討していくプロセスについて紹介しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 台湾最大の都市である台北では、長年台湾に通ってきた著者ならではのおすすめスポットを楽しみながら、大都市で暮らす利便性を改めて確認する

◆ 実際に「お部屋探し」を体験することで、旅行とは違う住居費や立地、設備、生活環境など、海外生活に必要な現実的な条件が見えてくる

◆ 台南、高雄、台中、台北という性格の異なる4都市を実際に巡ることで、自分に合った街はどこなのかを比較できるのが1か月滞在の大きなメリットになる

◆ 海外で暮らすことをいきなり「移住」という大きな決断にせず、まず1週間、1か月といった期間で試してみることで、自分との相性を確かめることができる

◆ 50歳という人生の節目は「老後の準備を始める年齢」であると同時に、自分のために時間とお金を使い、新しい人生を試してみる絶好のタイミングにもなる

 

本書を読んで私が最も共感したのは、セカンドライフの選択肢を頭の中だけで考えるのではなく、「まずやってみる」という姿勢です。

そこでいきなり「海外移住」を決断するのはハードルが高いでしょう。その点、おがたちえさんのように、「まず1か月住んでみる」という方法はとても現実的です。

1か月暮らすとなれば、朝起きて何を食べるのか、洗濯をどうするのか、買い物はどこでするのか、交通機関は使いやすいのか、ひとりで過ごして寂しくないのか、病気になったらどうするのか、といった「生活者の視点」が必要になります。

だからこそ、その土地が自分のセカンドライフの居場所として本当に合っているのかが見えてくるのです。

また、本書で興味深いのは、台湾をひと括りにせず、台南、高雄、台中、台北という4都市を比較していることです。

人気ランキングや一般的な評価ではなく、「自分がそこでどんな1日を送りたいのか」から住む場所を考えることが大切なのです。

台湾は日本から近く、食文化にも馴染みやすく、公共交通機関を利用して街を歩いて楽しめる場所が多いため、「海外で暮らす体験」の入り口として魅力的です。

本書は台湾旅行のガイドブックとして楽しめるだけでなく、50代からのセカンドライフ、海外ロングステイ、語学留学、そして「これから自分の時間をどう使うか」を考えるヒントが詰まっています。

子育てや仕事が一段落して、「これからは自分のために時間を使ってみたい」と考えている50代、60代の方、とくに台湾が好きな方には、ぜひ読んでほしい一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【4197日目】