『100歳まで人生詰まないお金の大正解』
「90代まで生きるのが当たり前の社会が目前に迫っています。」― 人生100年時代を迎え、長生きすることそのものよりも、「長生きしたときにお金が足りなくならないか」という不安を抱く人が増えています。大切なのは、老後資金をただ貯め込むことではなく、年金、退職金、社会保険、医療費、税金、資産運用、そして資産の取り崩しまでを一体で考え、100歳まで「お金で詰まない」仕組みをつくることです。
本日紹介するのは、1976年静岡県生まれ、東京大学理学部物理学科卒業後、同大学院修士課程修了、マンチェスター・ビジネススクール経営学修士(MBA)を取得し、野村證券でデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年に独立、現在は株式会社ウェルスペント代表取締役として、ファイナンシャル・ウェルビーイングの実現を目指す横田健一さんが監修した、こちらのムック本です。
横田健一 監修『100歳まで人生詰まないお金の大正解』(宝島社)
人生100年時代の資産形成というと、「老後までにいくら貯めればいいのか」という話になりがちです。しかし、本当に重要なのは、60歳や65歳の時点でいくら持っているかだけではありません。
そこから30年、40年という長い老後を生きる可能性がある以上、「資産形成」から「資産活用・取り崩し」へ発想を転換する必要があるのです。
本書では、退職金や年金、社会保険、節税、医療費など老後生活に欠かせないお金の基礎知識から、インフレに負けない資産運用、さらには人生の最終段階に向けた「お金の終活」まで、100歳まで資産を持続させるための考え方を解説しています。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.60歳から詰まないマネープランの大正解
2.100歳まで詰まない年金・退職金・医療費の大正解
3.インフレでも大丈夫!60歳からの資産寿命を延ばす投資術
4.人生詰まない資産の取り崩し方法とお金の終活
本書の前半では、人生100年時代に必要となる老後のマネープランと、年金・退職金・医療費などについて、以下のポイントを紹介しています。
◆ 60歳以降のお金を考えるときは、「老後資金はいくら必要か」という一つの数字だけにとらわれず、収入、支出、保有資産、年金などを総合的に把握することが出発点になる
◆ 長寿化によって老後期間が30年、40年に及ぶ可能性があるため、60歳や65歳までに資産形成を終えるのではなく、その後も資産を管理しながら長期間使っていく発想が必要になる
◆ 公的年金は老後生活を支える重要な終身収入であり、受給開始時期や働き方なども含め、自分に合った受け取り方を考えることが長生きリスクへの備えになる
◆ 退職金はまとまった金額が入るからこそ、受け取った直後に大きく使ったり、よく理解していない金融商品へ一括投資したりせず、老後全体の資金計画の中で位置づけることが大切になる
◆ 医療費など年齢とともに増加する可能性のある支出についても、社会保障制度を理解したうえで必要以上に恐れず、「何に、いつ、どのくらい必要なのか」を具体的にシミュレーションすることが重要になる
この本の中盤では、インフレ時代に資産寿命を延ばすための60歳からの資産運用について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 老後に入ったからといって資産をすべて現預金にすると、物価上昇によって実質的な購買力が低下するため、インフレへの備えという観点から資産運用を考える必要がある
◆ 60歳以降の投資では大きな利益を狙うことよりも、生活に必要なお金を確保しながら、長期間にわたって資産を維持するという「守りながら増やす」発想が重要になる
◆ 資産運用では一つの商品や資産に集中させるのではなく、リスク許容度や使う時期を考えながら分散し、値動きによって生活そのものが不安定にならない仕組みをつくる
◆ 60歳以降も人生が30年以上続く可能性を考えれば、「高齢になったから投資は終わり」と一律に考えるのではなく、長期的な時間軸で資産運用を続ける選択肢がある
◆ 資産寿命を延ばすには、運用利回りだけを追求するのではなく、毎月の生活費や臨時支出を把握し、「どの資産を、いつ使うのか」という出口まで考えた運用が欠かせない
本書の後半では、人生100年時代に最も重要な「資産の取り崩し」と「お金の終活」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 老後資産は「できるだけ減らさないこと」が目的ではなく、自分の人生を豊かにするために計画的に使っていくものであり、資産形成と同じくらい取り崩し戦略が重要になる
◆ 取り崩しでは、預貯金だけを先に使い切る、あるいは運用資産だけを一気に売却するといった極端な方法ではなく、資産全体のバランスを見ながら計画的に現金化していく
◆ 長生きするほど「お金を使い切ってしまうリスク」が高まる一方、使うことを恐れすぎれば、多額の資産を残したまま人生を終えることになり、老後生活を必要以上に切り詰めてしまう可能性もある
◆ 高齢になるにつれて自分自身で金融資産を管理することが難しくなる可能性もあるため、元気なうちから資産、口座、保険、相続などを整理しておく「お金の終活」が必要になる
◆ 最終的には「100歳までお金を残す」こと自体を目的にするのではなく、必要な生活を維持しながら、自分が大切にしたいことにお金を使い、人生の満足度を高めることがマネープランのゴールになる
本書を読んで私が最も重要だと感じたのは、人生100年時代には「資産形成」だけでは不十分で、「資産寿命」という考え方が不可欠になるということです。
だからこそ、「老後2000万円」といった一律の金額に振り回されるのではなく、自分自身の年金額、生活費、住宅費、医療・介護費、金融資産などから個別にシミュレーションすることが大切です。
もう一つ重要なのが、インフレへの対応でしょう。
仮に60歳から100歳まで40年間生きるとすれば、物価が毎年少しずつ上昇するだけでも、生活コストは大きく変わります。
そのため、定年を迎えた瞬間に「もう投資は危険だから」とすべてを現預金にしてしまうことにもリスクがあります。
つまり人生100年時代には、「貯める→定年→全部現金化→取り崩す」という従来型の老後設計から、「貯めながら運用する→働きながら受け取る→運用しながら取り崩す」という設計への転換が求められます。
しかし、60代以降に本当に難しいのは、むしろ「どう使うか」ではないでしょうか。
せっかく長年かけて資産を形成しても、「減るのが怖い」と使えなければ、豊かな老後にはつながりません。
逆に、定年直後に旅行や住宅リフォームなどで大きく使いすぎれば、80代、90代になって資金不足に陥る可能性があります。
だからこそ必要なのは、資産額そのものではなく、「年金+運用+計画的な取り崩し」によって、生涯にわたるキャッシュフローを設計することなのです。
私は人生100年時代のマネープランを考える際には、「お金の寿命」と同時に「健康寿命」も考える必要があると思います。お金より人生のほうが大切です。
だからこそ、資産寿命を延ばす目的は「お金を減らさないこと」ではなく、人生の最後までお金の不安をできるだけ小さくしながら、使うべき時には安心して使える状態をつくることではないでしょうか。
人生100年時代の資産形成を「いくら貯めるか」だけで考えるのではなく、「どう貯め、どう運用し、どう使い切るか」という人生全体の設計として考えたい50代、60代以降の方に、ぜひ読んでほしい一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、資産形成、年金、投資やライフスタイルなど、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
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では、今日もハッピーな1日を!【4200日目】








