書評ブログ

スティーブ・ピーターズ 『ぶれない生き方』 (三笠書房)

トム・ピーターズ氏は精神科医で、大学で教鞭を執るかたわら、「ビジネスパーソン1人ひとりが自分の能力を発揮し、思い通りに生きるスキル」から「経営者たちのパフォーマンス向上」まで、20年以上指導してきたカリスマ・コーチだ。

 

人間心理の探求を続け、スポーツ選手のメンタル・トレーナーとしても活躍し、ロンドン、北京の両オリンピックで数多くのメダリストを育てている。

 

本書は、そうした輝かしい実績を挙げたピーターズのメソッドを披露したもので、翻訳を『媚びない人生』(ダイヤモンド社)の著者であるジョン・キム氏が行っている。ジョン・キム氏の人生に対する考え方のバックボーンと言えるのが本書だ。

 

キム氏の「訳者のことば」によれば、本書を読めば以下のようなことが実感できる、という。

 

1.感情をコントロールできれば、人生は劇的に変わる、人との関係がスムーズになり仕事の生産性も大きく上がる
2.感情をコントロールできれば、穏やかな日常を手に入れることができる
3.感情に振り回されないための具体的なアクションが身につく
4.未来と自分と他者と仕事と向き合うことが楽しくなる
5.自分の内面をコントロールすることで、チャンスを手にするパワーを高めることができる

 

6.自分の感情を放置せず、きちんと向き合う
7.自分や相手の感情を理解することで、人には真似できないクリエイティブな才能も花開く
8.見返りなど関係なしに 「相手にどう与えようか、相手をどう幸せにしたいか」 を考える
9.自分の人生にかかわる選択を、「誰か他の人の基準」 に委ねないこと
10.何があっても環境や他人のせいにしない、どういう人生を選んでも私に必要なことだったという深い覚悟が大切

 

ピーターズ氏は冒頭で、人間の心の大原則として、①感情、②理性、③情報源の3つを挙げている。感情をチンパンジーに喩え、客観的に認めることを勧めている。この3つをどう扱うかが、自分自身の成功に大きく関わってくる、という。

 

以上が第1章のエッセンスだが、以下に本書の構成を記しておこう。

 

1.「驚きの事実」 をお伝えしよう
2.自分を変える 「効果抜群のメソッド」
3.これが、心をコントロールする簡単な方法
4.「濃密な人生」 「中身のない人生」
5.「パターン」 をやめ、自由に生きる

 

6.「個性の磨き方」 を知っている人は強い
7.「独り」 を愛し、他人を大切にする
8.「どう言うか」 に、徹底的にこだわれ
9.その 「環境」 より、もっと上に行ける
10.逆境に負けない 「しなやかマインド」

 

11.絶好調をつくる 「体のメンテナンス」
12.「結果を出す」 ために必要なこと
13.この 「ヴィジョン」 が情熱に火をつける
14.自分の 「最高」 を目指すために
15.今日、あなたは 「揺るぎない自信」 を得る!

 

本書にあるメソッドは、一貫して、チンパンジーになぞらえている「感情」をいかに、客観的に捉えてコントロールするか、ということにかかっている。

 

そのための考え方、行動、習慣など、身に付ければ穏やかな日々を手に入れ、幸せな人生を送ることができる、ということだ。

 

自分が主役の人生ぶれない生き方をしたい全ての人々に、本書を心から推薦したい。