書評ブログ

エリコ・ロウ『アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉』(扶桑社文庫)

エリコ・ロウさんは、早稲田大学文学部卒業後、コピーライターを経て1990年に渡米。1992年ニューヨーク大学ジャーナリズム大学院を卒業し、アメリカ在住のフリーランス・ジャーナリストとして活躍した。

 

旧姓神尾恵理子として、NHKの番組取材や新聞・雑誌の記事を通して、アメリカの最新情報を発信している。本書は、アメリカ・インディアンが後世に伝えようとしてきた伝統文化を探る書だ。

 

アメリカ・インディアンはよく、「ミタケ・オアシン = すべては関わり合っている」と言う。古代から受け継がれてきた伝統療法を実践するメディスン・マンたちと著者は知り合い、閉ざされた世界の儀式や風習を内側からある程度、理解できたという。

 

原始的な「土着信仰」と見られてきた彼らの世界観や人生哲学は、自然回帰ブームの中で、古くて新しいエコロジーとして脚光を浴びている。根っからのナチュラリストであるアメリカ・インディアンから人類サバイバルへの道を学ぼうという気運は高まるばかりだ。

 

では、以下に私が印象に残ったアメリカ・インディアンの言葉を紹介しよう。

 

1.人も自然。すべては関わり合っている。
2.ひとの暮らしに疲れたら、自然に還る。
3.善人にも悪人にも雨は降り、陽はのぼる。
4.偶然の出会いには、深い意味がある。
5.家族のあいだに調和が保てれば、人生は成功だ。
6.頭でなく、こころで学ぶ。

 
7.こころからの言葉は書物より尊い。
8.知識でなく、知恵を求めよ。知識は過去の遺産だが、知恵は未来をもたらす。
9.歩いた足跡でひとは永遠に知られる。
10.死により私は生まれる。
11.夢はひとより賢い。
12.ひとに与え、与えられるのが人生。

 

「インディアンの国では不思議なことがよく起こる」と言われている。「大いなる神秘」の導きを信じたくなるような出来事がよく起きた。自然に回帰する新たな生き方を模索するすべての方々に本書を推薦したい。