書評ブログ

鷲田小彌太『シニアの読書生活』(文芸社文庫)

鷲田氏は、三重短大教授、札幌大学教授を経て執筆活動に入る。専攻は哲学、思想史だが、ジャンルを問わず書評、評論、人生論など200冊以上を執筆する。『大学教授になる方法』はベストセラーとなった。

 

本書は、70歳にして「死ぬまでに読む本100冊の紹介」を読者に求められ、それに応えるために執筆したものだ。巻末には、自著を初めとして100冊の書籍がリスト化されているが、正直、私の嗜好とは全く異なる。

 

哲学や思想史などに大きく傾いていて、ビジネス書の選定についても古典的に過ぎるか、または俗っぽくなり過ぎていて、私の趣味とは合わなかった。

 

本書の中で私が参考になり、感銘を受けたのは、人生にとって、いかに読書がその質を豊かにするか、という筆者の主張だ。とくに定年後など、シニアになってからの読書は、人生に大きな彩りを添えるという。同感だ。

 

また、人生100年時代を生きるために、人生は以下の四段階に分かれるという。

 

1.第一段階 : 35歳が転機のジュニア期
2.第二段階 : 55歳が転機のミドル期
3.第三段階 : 75歳が転機のシニア期
4.第四段階 : それ以降んのリタイヤー期

 

以上の転機の前後10年が過渡期だという。つまり、ジュニア期は最長の人で40歳まで、最短の人で30歳までとなる。この転機は人によって異なるということだ。

 

ジュニア期を終える転機の根拠は、大学を卒業してほぼ10年、サラリーマンとして自分のポジションが見えてくる頃だ。

 

また、ミドル期を終える転機の根拠は定年だ。これも人によって年齢は異なり、いわゆる第二の人生をいかに始めるかということだ。

 

シニア期を終える転機は、完全なリタイヤー、つまり老後に入る年齢だ。このように人生を区分して考えると、それぞれの転機において、読むべき本も変わってくるだろう。

 

そのほか本書には、人生にとって大切なヒントや、そのために読書がいかに有益かということがわかる事例が満載だ。ぜひ全ての年代の人々に手に取ってもらいたい一冊だ。