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大岩俊之『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)

大岩俊之氏は、電子部品メーカー、半導体商社など4社で法人営業を経験し、全社で前年比150%以上の営業実績を挙げて売上1位を達成した。

 

その後、独立起業を目指す中で、「成功者はみな読書家」というフレーズを見つけ、年間300冊以上の本を読むようになる。

 

本書は、本田直之氏著 『レバレッジ・リーディング』(東洋経済新報社)で提唱されている事柄と共通するところが多く、さらに著者の大岩氏の独立起業体験が随所にちりばめられていて、分かりやすい。

 

読書は、読んだだけの自己満足に終わってしまいがちだが、それを確実な「知識」として記憶に留め、且つ、具体的な「行動」 につなげていくためのノウハウが書かれている。

 

読書で「理想の自分」を手に入れるための書だ。構成は以下の5つに整理されている。

 

1.「効率よく」 本を読む
2.読んだことを 「記録」 して整理する
3.読んだことを 「記憶」 して忘れない方法
4.読んだことを 「行動」 に移す
5.読んだだけで終わらせない実例集

 

本書によれば、まず上記1の効率よく本を読むために最も大切なことは、ビジネス書は「目的」を持って読むことだ。漠然とした目的ではなく、具体的にビジネスに役立てるための「掘り下げた目的」を明確にすることが重要だ。

 

次に、全体の20%にあたる大切なことのみにフォーカスし、残りの80%は捨てることがコツだ。時間を区切って集中して読むことにより、短い時間で読んだ本のエッセンスを自分のものにできる。

 

上記2の記録して整理することについては、大岩氏は本に線を引いたり、書き込んだりして目立たせ、読書ノートを作ることを薦めている。アウトプットを前提にして整理するためだ。

 

具体的な整理のやり方として、マインドマップの活用が紹介されている。マインドマップは、思考が整理されたり、発想力が向上したり、記憶力が高まるなどの効用がある、という。

 

上記3の記憶して忘れないようにするには、8:2の法則にあるように、重要な2割に絞り、反復すること、感情を動かすこと、アウトプットを前提とすること、ストーリーを作って記憶することが有効だとしている。

 

上記4の行動については、行動目標を細かく設定すること、コヴィー著 『七つの習慣』 (キングベア出版)で提唱された「重要だが緊急でない第二領域の事項を優先すること」が説明されている。

 

目標設定に関しては、SMARTの法則 (Specific/Measurable/Achievable/Realistic/Time-bound)に基づいて行うことが重要と説いている。

 

上記5では、セミナー講師として独立起業をした大岩氏が、実際に読んだ本と、その後の行動が具体的に紹介されていて興味深い。巻末に掲載されている参考文献一覧は、とても充実していて、「読書」に関する見識が殆ど網羅されている。

 

この参考文献を知ることだけでも本書を読む価値はあるだろう。読書を実際の行動や成果に結び付けたい全てのビジネスパーソンに本書を心から推薦したい。