書評ブログ

大前研一ほか『時間とムダの科学』(プレジデント社)

本書は、ビジネス雑誌 『プレジデント』 が何度か特集した「時間管理」について出た記事を再編集してまとめたものだ。出版は2005年とかなり前のものだが、現在も活躍する経営者の時間管理法は参考になる。

 

本書で24時間の時間管理法が紹介されている主な経営者・著名人で、とくに私が参考にしている方々は以下の通りだ。

 

1.柳井正 (ファーストリテイリング)
2.後藤卓也 (花王)
3.キャノン (御手洗富士夫)
4.新浪剛史 (ローソン・当時)
5.渡邊美樹 (ワタミフードサービス)

 
6.宋文州 (ソフトブレーン)
7.畑村洋太郎
8.大前研一
9.江坂彰
10.竹村富士徳

 
11.山崎将志
12.御立尚資
13.斉藤孝
14.西村晃
15.斉藤栄一郎

 

その中で、私の最も響いた言葉は、本書95ページに掲載されている、大前研一氏の次のフレーズだ。数多くの書籍に引用されているので、聞いたことのある人もいるはずだ。

 

「人間が変わる方法は3つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付きあう人を変える。この要素でしか人間は変わらない。」

 

大前氏によれば、もっとも無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。かつて決意して何か変わっただろうかと問い、行動を具体的に変えない限り、決意だけでは何も変わらない、と述べている。

 

そして、時間、場所、友人の中で一つだけ選ぶとしたら、時間配分を変えることがもっとも効果的なのだ、と指摘している。それほど時間配分は人生を変えるのに必須ということだ。

 

また、竹村富士夫氏は、フランクリン・コヴィー博士が『七つの習慣』で提唱した、優先順位思考を実践している。仕事を、緊急か緊急でないかという横軸と、重要か重要でないかという縦軸で分類し、1~4までの領域に分けて時間管理を行う方法だ。

 

緊急で重要という第一領域を誰でも最優先して処理するが、実はこの領域の仕事を以下に減らすかが時間管理では最も大切だ。そのためには、緊急でないが重要という第二領域に最も時間を割くべきだとコヴィー氏は提唱している。

 

第二領域とは具体的に、準備・予防・計画・人間関係づくり・真のレクリエーション、価値観の明確化・健康管理・体力増進・自己啓発など。ここに日頃から優先して時間を割いていないと、第一領域の作業が増えてしまう。

 

健康管理を疎かにすれば病気になる、計画や準備がしっかりしていないと待ったなしの状況を迎える、自己啓発に注力していないといざというチャンスの時に慌てて勉強せねばならなくなる、などだ。

 

本書の最後には、手帳活用術として、斉藤孝氏の「三色ボールペン」段取り術西村晃氏の「ポストイット」活用術が紹介されている。これらも時間管理の工夫に効果的だ。

 

本書は、自分を変え、人生を変えたい人には行動を起こすために最適の書だ。心から推薦したい。