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仕事で成長する人は、なぜ「不安」を「転機」に変えられるのか?

先が読めない不透明な現代のビジネス社会において、「レジリエンス」という言葉が注目されています。最近は「不安」で悩む人が増えていると言われていますが、将来が不安な人が多いということでしょう。

 

そこで今日紹介するのは、「キャリアに生かすレジリエンス仕事術」を説明している、こちらの本です。

 

久世浩司『仕事で成長する人は、なぜ「不安」を「転機」に変えられるのか?』(朝日新聞出版)

 

この本は、不安に負けて行動せずに現状維持でいるか、それとも不安をコントロールして前に進み仕事を通して成長を続けるか、という選択を問う書です。

 

不安に対処できない人の最大の問題は、キャリアの転機に直面した時に顕在化する、と著者は述べています。

 

「うまくいくだろうか」、「失敗しないだろうか」という不安や思い込みは誰にでもあるものです。問題はその心を「レジリエンス」で適切にコントロールできるかどうかだ、と久世さんは言います。

 

30年以上の研究の背景がある「レジリエンス」は、「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」と定義づけられています。

 

大切なことは「不安を敵視してはいけない」ということです。つまり、不安を受け容れて「手なずける」スキルを身に付けることが重要だ、ということです。

 

不安の感情はマイナス面ばかりではなくプラスの面もあります。最新の心理学の研究でも、ネガティブな感情のポジティブな役割が見直されています。また、「ポジティブ・シンキング」の弊害も指摘されています。

 

「心配性の人こそ、成功できる」という見方も、心理学の最新研究では報告されています。本書では、不安の手なずけ方と活用法を基礎・応用・発展の以下の3レベルに分けて論じています。

 

 

1.基礎; 「不安感情に支配されない」技術
2.応用; 不安を「やる気」に変えてしまう技術
3.発展; 不安をキャリアでの「転機」に変える技術

 

 

自分が成長しているという実感はお金に変えがたいものがあり、仕事が前進したときに「幸せ」が感じられると著者の久世さんは言います。不安のときこそ、立ち止まらずに行動すべきです。

 

本書は以下の4部から構成されています。

 

 

1.不安感情を理解する
2.不安感情に支配されないセルフマネジメント術
3.不安を「やる気」に変える仕事術
4.不安を「転機」に変えるキャリアデザイン

 

 

まず上記1の「不安感情の理解」については、不安は心が「今、ここ」にないときに生まれやすい、としています。仕事には不安がつきものですが、不安を持ちやすい人に共通しているのは、先のことを考える癖がついていることです。

 

まじめで頑張り屋の人ほど「ネガティブな未来予測」をしがちで、心が「今、ここ」にないと言えます。

 

また、不安はそのままにしておくと様々な問題の原因となります。嫌な感覚なのでフタをして抑圧したい衝動に駆られますが、うまく対処しないと、思考・行動・健康において問題を生じます。

 

仕事で成長する人は、不安のポジティブ面を活かします。不安には、問題やリスクを早期に気付かせる「アラーム機能」、仕事のやる気を生み出す「モチベーション機能」、キャリアの転機などで前に進む後押しになる「プッシュ機能」があります。

 

 

次に「不安感情に支配されないマネジメント術」としては、基本をおさえることが重要です。ネガティブ感情にはしつこく繰り返されるという特徴があるため、適切にコントロールせねばなりません。ポイントは以下の3つです。

 

 

1.その感情への気づきを高め受け容れること
2.感情の背景にある「思い込み」を手なずけること
3.その感情を溜めずに気晴らしすること

 

 

とくに思い込みの狭い解釈にとらわれないように気をつけなければいけません。悲観思考が癖になる「心配犬」や無力思考を繰り返す「諦め犬」といった思い込みのパターンは、よく手なずけることが大切です。

 

そしてストレスの宵越しをしない習慣が幸せに働くためには重要でしょう。できればストレスはその日のうちに「気晴らし」によって心の健康を維持することが大切です。

 

4部構成の3番目である「不安をやる気に変える仕事術」としては、心配することでモチベーションを高めることができる、ということを知ることです。

 

不安になることで行動を起こす意欲を出し、自分を奮起させるといった「働き方」を身につけることは誰にでもできるものです。また悲観的でも感情をコントロールする技術を身につけていれば、結果を出すことはできます。

 

不安でモチベーションが高まったならば、今すべき仕事に集中することです。目の前の仕事に没頭できる人は自己成長しやすいと言えます。条件を整えることで高度の没頭状態である「フロー」を体験できます。

 

そして「フロー」の体験を重ねることによって、より高い挑戦に立ち向かい、成長のサイクルに入ることができるでしょう。

 

 

4部構成の最後、「不安を転機に変えるキャリアデザイン」ですが、まず自分のキャリアの転機に気づくことです。仕事を通した成長に翳りが見え始めた時こそ、次の成長カーブの「種まき」をするべき時期です。

 

そして「キャリアの転機」のときこそ、不安をコントロールする技術が必要です。それまで続けていた仕事を離れるときは「失敗の不安」「未知の不安」、あるいは現在の立場を手放す「喪失の不安」に直面します。

 

この時に「不安の感情」に対処できるかどうかが、その後の自己成長の分岐点です。仕事を通して成長し続けることはお金に代え難いものです。

 

転機を乗り越えて第二の成長カーブに入れば、キャリアを通して自分を成長させることが可能になります。仕事で前に進んでいる達成感は、私たちに深い満足感と幸福感をもたらす心理的報酬となり、金銭では代えられないものです。

 

 

本書の最後にはまとめ参考文献が掲載されています。著者の久世さんが会社を辞めて、社会人向けスクールという事業をゼロから立ち上げた時の経験が語られています。

 

不安という感情と闘い、コントロールした経験です。人は不安にになると二種類の対応のどちらかを選択すると言います。
1つは「不安に負けて挑戦を回避する後ろ向きな対応」、2つ目は「不安を取り除くために行動を起こす前向きな対応」です。

 

久世さんは後者を選択したので、事業の立ち上げに成功しました。不安を燃料にして、目の前の問題に意識とエネルギーを集中させたのです。

 

この本は起業を目指す方々にとって、ほんとうに多くの示唆を与えてくれます。皆さんもぜひ、「不安の感情」と向き合い、挑戦を続けてみませんか。

 

では、今日もハッピーな1日を!