「私たちは、なぜそれを選ぶのか?」― 日々何気なく行っている買い物や時間の使い方、その一つひとつの選択には、時代の変化や社会の価値観が色濃く反映されています。本書は、国内最大級の生活者データをもとに、日本人の「選択」の裏側を読み解き、これからの社会を展望する一冊です。

本日紹介するのは、1960年創業、アジアNo.1のマーケティングリサーチ会社として、生活者の意識・行動データを長年にわたり蓄積・分析してきた企業で、全国規模の消費者パネルデータや各種調査を通じて、消費・メディア・社会意識の変化を定点観測し、日本社会の変化をデータで読み解いてきた株式会社インテージがまとめたこちらの書籍です。

株式会社インテー『なぜ日本人は、それを選ぶのか?―データで読み解く時間とお金の使い方』(朝日新書)

 

本書の冒頭では、物価高、円安、格差拡大、生成AIの急速な普及など、不確実性の高い時代だからこそ、「感覚」ではなく「データ」で現実を見ることの重要性が語られています。そして、日本人の生活や価値観がどのように変化しているのかを、多面的なデータ分析によって明らかにしています。

 

本書は以下の4部構成から成っています。

1.データから解き明かす「令和の生活者」

2.令和の「価値観」と「生活スタイル」

3.日本の未来を見通す「注目すべき世代」

4.四つの潮流が組み替える〝選択プロセス〞

 

本書の前半では、令和の生活者の実像がデータをもとに解説されています。主なポイントは以下の通りです。

◆「食卓」の変化から見えてくる「簡便化」「節約」「健康」志向

◆ コロナ禍以降に大きく変化した購買行動

◆ タイムパフォーマンスを重視する時間の使い方・メディアとの向き合い方

◆ 日本は新NISAを機に「全世代総投資時代」に

◆ 人流データから見えてくる街や地域の変化

 

この本の中盤では、価値観や世代ごとの違いに焦点が当てられています。主なポイントは次の通り。

◆ 節約志向がもたらした、無駄なものは買わない「賢堅消費」

◆ 簡便化志向や自分に過ぎたモノを求めない「足るを知る」価値観

◆ 5大価値観:➀ウェルネス、②パフォーマンス重視、③個人志向、④多様性、⑤希少性

◆ Z世代を中心に広がる「リキッド消費」(短命・消費・脱物質・省力化)

◆ 4割の人口ボリュームゾーン50~70代の消費活動:押し活やスマホの伸び

 

本書の後半では、AI時代を見据えた未来の選択プロセスについて考察されています。主なポイントは以下の通りです。

◆「選ぶ」を左右する四つの潮流:➀多様化、②賢堅消費、③個人最適、④リキッド消費

◆ 選択プロセスの「前段」が厚くなり、選択の「個別化」が進む

◆ AIが加速する四つの潮流(多様化を起点、賢堅消費を前段、個人最適を基準、リキッド消費で流動)

◆ 選択プロセスの前段EMOT(候補の整列・最初の比較軸・安心材料・地雷回避)

◆ 企業に求められる四層構造:➀素材(リサーチ)、②器(デー分析)、③意味(ブランド)、④構造(入口設計)

 

本書の最大の魅力は、「消費者」ではなく「生活者」という視点から、日本人の暮らしや価値観をデータで客観的に読み解いている点です。

ニュースやSNSでは断片的な話題が多く取り上げられますが、本書では長年蓄積された膨大なデータを活用することで、一時的な流行ではなく、社会全体がどの方向へ変化しているのかを冷静に理解することができます。マーケティング担当者だけでなく、経営者、ビジネスパーソン、投資家、そして社会の変化に関心を持つすべての人にとって、多くの示唆を与えてくれる内容です。

私自身も、人口減少、消費行動、AIの進化、人生後半の働き方や資産形成などを日々研究・発信していますが、本書は「データで社会を見る」ことの重要性を改めて実感させてくれる一冊でした。思い込みではなく事実に基づいて未来を考えたい方に、ぜひおすすめしたい良書です。

YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、読書術、人生後半戦の生き方、資産形成、AI活用、社会・経済動向などについて発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。

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では、今日もハッピーな1日を!【4144日目】