「100年前に書かれたディストピア小説『すばらしい新世界』は、実は21世紀の予言書だった。」― 本書は、急速に進化するバイオテクノロジーやAI、デジタル医療を通して、「命とは誰のものか」という根源的な問いを私たちに投げかける一冊です。

本日紹介するのは、東京都生まれ、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号取得後、国連、米国野村證券等を経て、現在は国際ジャーナリストとして活躍、『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』黒田清日本ジャーナリスト会議新人賞『ルポ 貧困大国アメリカ』日本エッセイスト・クラブ賞と新書大賞をダブル受賞、『沈みゆく大国 アメリカ』『日本が売られる』『デジタル・ファシズム』など多数の著書があり、2026年6月現在はWEB番組「新・堤未果のアンダーワールド」を配信している堤未果さんが書いた、こちらの書籍です。

堤未果『堤未果の『すばらしい新世界』 スマホで赤ちゃんを注文する日』(集英社新書)

 

本書は、オルダス・ハクスリーの名作『すばらしい新世界』を現代社会に重ね合わせながら、生命科学、AI、デジタル監視社会、安楽死制度などの急速な進展が、人間の尊厳や自由にどのような影響を与えるのかを考察した一冊です。

この本の冒頭で著者は、「技術の進歩は私たちを幸せにするのか、それとも人間らしさを失わせるのか」という問いを提示します。

便利さや効率性ばかりを追い求める社会の先に、本当に望む未来があるのか。著者は世界各地での取材や自身の家族の経験を通して、読者に深く考えることを促します。

本書は以下の4部構成から成っています。

1.「生」~スマホで赤ちゃんを買う日~

2.「老」~寿命を買う者、老いを抱きしめる者~

3.「病」~マイナス感情は消去せよ~

4.「死」~国家が、死を売る~

 

本書の前半では、生命科学がもたらす未来について解説されています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 受精卵の選別や遺伝子編集技術が現実になりつつある

◆ 人工子宮など生殖医療は急速に進歩している

◆ クローン技術や再生医療が倫理的課題を生み出している

◆ 「命を選ぶ」時代がすぐそこまで来ている

◆ 技術進歩と人間の尊厳をどう両立するかが問われている

 

この本の中盤では、老化・医療・デジタル監視社会について考察されています。主なポイントは次の通り。

◆ 老化を克服する研究が世界中で進められている

◆ 感情や性格まで薬や技術で操作する試みが始まっている

◆ AIやウェアラブル機器が健康管理を高度化している

◆ 便利さの裏で監視社会が静かに広がっている

◆ 医療は人を支えるものか、管理するものかが問われる

 

本書の後半では、「死」をめぐる社会の変化が描かれています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 安楽死制度を導入する国が増えている

◆ 医療費削減と命の選択が結び付く危険性

◆ 社会的孤立が死を選ぶ背景になり得る

◆ 命の価値を誰が決めるのかという根源的問題

◆ 最後まで人間の尊厳を守る社会とは何かを問い直す

 

本書を読んで印象に残ったのは、未来予測の本でありながら、決してテクノロジーを全面的に否定しているわけではないことです。

著者が本当に伝えたいのは、「技術を誰が、どのような目的で使うのか」という視点です。便利さや効率性を追求するあまり、人間自身が「選択する自由」や「生きる意味」を失ってしまう危険性について警鐘を鳴らしています。

また、本書は遺伝子編集やAI医療、安楽死制度など世界各国で現実に起きている事例を数多く紹介しており、決してSFの世界の話ではありません。今後10年、20年で私たち自身が向き合う可能性のあるテーマだからこそ、大きな示唆を与えてくれます。

医療や生命倫理に関心のある方はもちろん、AI時代の未来社会、人口減少、デジタル社会のあり方を考えたい方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。

私たちはどのような未来を子どもたちに残したいのか。本書は、その答えを一人ひとりが考えるきっかけを与えてくれる優れた教養書だと思います。

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では、今日もハッピーな1日を!【4140日目】