書評ブログ

『Nouveau ハワイ VOL.11』(ヌーボーコミュニケーションズ)

『Nouveau』は、ハッピーな旅のライフスタイルを提案する雑誌で、新しい視点が人気を呼んでいる。従来のガイドブックとは違って、特集に拘り、写真に拘って、ストーリーのある大型本だ。

 

本書は、ハワイ最新案内と題しているが、目玉の特別取材は、ハワイを90年見つめてきた「夏の家」だ。

 

今から72年前に始まった太平洋戦争。当時、日本軍によるハワイ真珠湾攻撃の直前、オアフ島アレワハイツの高台にある日本料亭「春潮楼」から毎日、真珠湾やホノルルの街並みを監視する日本軍関係者がいた。

 

彼は毎日、「春潮楼」の2階から真珠湾を望遠鏡で眺めていた。ホノルル総領事館から東京への打電は、昭和16年1月1日から12月7日まで計254通。最後にその様子を日本に打電した報告電報は、真珠湾攻撃の6時間前だったという。

 

諜報活動をしていた彼は、その後身元がばれることなく日本に帰国した。 「春潮楼」は現在、「夏の家」として、営業している。英語名は「Natsunoya Tea House 」と言う。日本では料理屋を「お茶屋」と言っていたのが由来だそうだ。

 

2階からの眺望の良さは、90年前と変わりない。ただ、ホノルルの高層ビル群はかつてとはずいぶん違っている。水曜から土曜の夜は寿司バーも営業している。90年前に思いを馳せながら和食を味わうのもいいだろう。

 

本書での他の特集は、マノアの緑豊かな風景、ノースショアの街並み、そして外せないワイキキの魅力だ。私の大好きなダイヤモンドヘッドと近くのボガーツ・カフェも写真入りで取り上げられている。

 

他の書籍や写真集では見られないハワイがそこにある。スピリチュアルな魅力満載のお薦めの一冊だ。