『わがまま養生訓』
「自分の幸せと健康を最優先にする。」― 仕事、家族、人付き合い、趣味など、大人になるほど自分以外の誰かや何かを優先しがちです。しかし、無理を重ねたツケは、疲れ、冷え、むくみ、不眠、ホルモンバランスの乱れなど、さまざまな「未病」のサインとなって表れます。本書は、江戸時代の名著『養生訓』から50の知恵を取り上げ、漢方の視点から「一生元気で長生きする」ための生活習慣をわかりやすく解説した一冊です。
本日紹介するのは、東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂株式会社に入社、漢方専門相談員として店舗運営や臨床を経験した後、社員教育、広報販促、調剤などに携わり、現在は薬剤師、薬日本堂漢方スクール講師、日本漢方養生学協会理事長として、漢方養生指導士の育成やセミナー、講演、商品開発協力など幅広く活動する鈴木養平(すずき・ようへい)さんが書き、1969年創業、日本最大級の漢方専門店として「一に養生、二に漢方」を基本理念に掲げる薬日本堂が監修した、こちらの書籍です。
鈴木養平著・薬日本堂監修『わがまま養生訓』(フォレスト出版)
本書は、江戸時代の儒学者・医者・本草学者である貝原益軒がまとめた『養生訓』を現代の生活に応用し、「養生とは、いのちを養うこと」という考え方を、漢方と日々の習慣の視点から伝えています。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.貝原益軒と『養生訓』
2.養生にコミットする!
3.飲食は命を支えるみなもと
4.季節の養生
5.こころ穏やかになるための五感のトリセツ
6.生活習慣が人生をつくる!
7.健康パートナーとともに体調を整えよう
8.まとめ
本書の前半では、健康を人任せにせず、自分自身で養生に取り組む姿勢と、食事を中心とした生活の基本について紹介されています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 養生は、病気になってから治すのではなく、日々の暮らしの中で自分の心身を整えていく「スキル」である
◆ 自分の健康を後回しにせず、疲れや冷え、むくみなど身体から発せられる小さなサインを見逃さない
◆ 「気」を無駄に消耗しないようにし、無理を重ねず、自分の体力や状態に合わせて生活する
◆ 食事では胃腸へ負担をかけすぎず、少食や食べる時間、温かい食事などを意識して身体をいたわる
◆ 五味・五色、薄味、温飲温食など、毎日の食事そのものを養生として捉える
この本の中盤では、季節の変化への対応と、心を穏やかに保つための五感の使い方について解説されています。主なポイントは次の通り。
◆ 春、梅雨、夏、秋、冬では身体への影響が異なるため、季節に応じて食事や休息の取り方を変える
◆ 夏は活動的になる一方、冬は無理に動きすぎず休息を大切にするなど、自然のリズムに合わせて暮らす
◆ 「心はからだの君主」と考え、心の状態が身体に与える影響を意識する
◆ 目や耳を使いすぎず、ときには情報から離れて五感を休ませる
◆ ゆったりとした呼吸や、歌、踊りなど、楽しみながら心身を整えることも立派な養生になる
本書の後半では、毎日の生活習慣と、健康を守るための医療や漢方との付き合い方について具体的に紹介されています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 姿勢、歯のケア、排便、足のケアなど、毎日の小さな習慣が長期的な健康をつくる
◆ 食後の軽い運動や体操、質のよい睡眠、入浴など、無理なく続けられる習慣を整える
◆ ときには温泉旅行などで日常から離れ、心身をリラックスさせることも健康維持につながる
◆ 医師や薬剤師などを「健康の伴走者」として上手に活用しつつ、自分の身体の状態を最もよく観察するのは自分自身である
◆ 食事や生活習慣を基本とし、必要に応じて漢方などを取り入れながら、最終的には「人生を楽しむ」ことを養生の目的とする
本書で最も印象に残るのは、「養生はスキル」という考え方です。健康というと、生まれ持った体質や運、不運で決まるものと考えがちです。しかし、食事、睡眠、運動、休息、心の持ち方など、日々の選択によって変えられる部分も少なくありません。
その意味では、健康は「与えられるもの」ではなく、日々少しずつ育てていくものなのでしょう。
江戸時代に生きた貝原益軒が、平均寿命が現在よりはるかに短かった時代に85歳まで長生きし、晩年まで頭脳明晰で活動を続けたことは興味深い事実です。
『養生訓』には、300年以上前に書かれたにもかかわらず、現代にも通じる知恵が数多くあります。非常にシンプルですが、だからこそ実践する価値があるのだと思います。
本書には、「酒は微酔、花は半開」という考え方も登場します。何事もやりすぎない。少し足りないくらいにとどめる。これは食事やお酒だけでなく、仕事、運動、人付き合いにも通じる人生哲学ではないでしょうか。
私自身も、人生100年時代には、長く働き、学び、発信し続けるための土台として健康が何より重要だと考えています。
こうした「養生」を日常に取り入れることが、生涯現役の人生につながっていくのでしょう。
健康に不安を感じ始めた方、疲れや冷え、不眠などの未病サインが気になる方、漢方や東洋医学の考え方に関心のある方、そして人生後半を元気に長く楽しみたいすべての方に、ぜひ読んでほしい一冊です。
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では、今日もハッピーな1日を!【4185日目】








