「どの医者に診てもらうかで、人生の長さまで変わってしまうかもしれない。」― 日本は世界有数の長寿国ですが、平均寿命が長いからといって、誰もが同じように健康で長生きできるわけではありません。本書は、病院に行くまで医者の質が分からない「医者ガチャ」の現実を踏まえ、「ハズレ医者」を見抜き、医師とよりよい関係を築くための「患者力」を身につける方法を、現役医師が具体的に解説した一冊です。

本日紹介するのは、2002年に慶應義塾大学医学部を卒業後、さまざまな病院・クリニックで小児科医・内科医として経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長として、感染症、アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを中心に、0歳から100歳まで幅広い患者を診療する武井智昭(たけい・ともあき)さんが書いた、こちらの書籍です。

武井智昭『「寿命格差」という罠〜今、必要なのはハズレ医者を見抜くスキル〜』(日東書院)

この本は、病気になってから初めて医師の質が分かる現在の医療環境「医者ガチャ」と表現し、その当たり外れに人生を左右されないためには、患者側にも医師を選び、対話し、必要な情報を引き出す力が必要だと説いています。

 

本書は以下の6部構成から成っています。

1.間違った医者選びが寿命を縮めている

2.こんな医者にかかってはいけない

3.「アタリ」の医者は6秒で分かる

4.これだけは身につけておきたい「患者力」

5.健康寿命は医者次第!

6.大人が知っておきたい「子どもの医者選び」の重要性

 

本書の前半では、なぜ医者選びが健康寿命に影響するのか、また「ハズレ医者」をどう見抜くかが解説されています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 医師が患者の話を十分に聞かず、説明も少ないまま薬だけを処方する診療では、患者側に不信感や不安が残りやすい

◆ 症状だけを見て、生活背景や既往歴、家族歴まで確認しない医師では、重要な情報を見落とす可能性がある

◆ 患者の質問を嫌がったり、別の意見を求めることを否定したりする医師には注意が必要である

◆ 医療知識がないからといって、すべてを医師任せにすることは、自分の選択肢を狭めることにつながる

◆ 受診時の短い時間でも、患者への向き合い方や説明の姿勢から、その医師が信頼できるかどうかをある程度判断できる

 

この本の中盤では、「アタリ」の医師に出会うための視点と、患者自身が身につけるべき「患者力」が紹介されています。主なポイントは次の通り。

◆ 良い医師は、患者の話を遮らず、短時間でも必要な情報を引き出そうとする姿勢がある

◆ 診断や治療方針について、一方的に決めるのではなく、患者が理解できる言葉で説明しようとする

◆ 患者側も、症状がいつから始まったか、何がつらいか、どんな薬を飲んでいるかを整理して伝える必要がある

◆ 診察では「何を聞きたいのか」を事前に決めておくことで、短い時間でも質の高いコミュニケーションができる

◆ 医師の言うことをただ受け入れるのではなく、納得できない点があれば質問し、必要に応じてセカンドオピニオンを活用する

 

本書の後半では、健康寿命を延ばすための医師との付き合い方と、総合診療・かかりつけ医の重要性について解説されています。

◆ 病気ごとに別々の医療機関へ行くのではなく、自分の健康状態全体を把握してくれる「かかりつけ医」を持つことが重要になる

◆ 高齢になるほど複数の病気や薬が重なるため、総合的に診てもらえる医師の存在が大切になる

◆ 医師を「病気になったときだけ会う人」ではなく、健康維持を一緒に考えるパートナーとして捉える

◆ 健康診断や予防接種、生活習慣の相談など、病気になる前から医療を活用することが健康寿命につながる

◆ 子どもの場合も、病気の診断だけでなく、成長発達や家族の不安に丁寧に向き合う医師を選ぶことが重要である

 

本書で最も印象的なのは、「医師選びも健康管理の一部」という考え方です。私たちは、病院や医師を選ぶ際に、家から近い、待ち時間が短い、有名な病院だからといった理由で決めることが少なくありません。

しかし、人生100年時代に長く医療と付き合っていくことを考えると、「自分の話を聞いてくれるか」「納得できる説明をしてくれるか」「全体を見て判断してくれるか」という視点も欠かせません。

それぞれの専門医が、自分の領域だけを見て処方を増やしていけば、薬同士の相互作用や重複処方が問題になることもあります。その意味で、本書が勧める「総合診療=かかりつけ医」という考え方は重要です。

医師と患者が情報を共有しながら、一緒に治療方針を考える「パートナーシップ」が理想です。そのためには、患者も自分の身体や病気について最低限の知識を持ち、遠慮せずに質問する必要があります。

また、本書の「寿命格差」という視点は、お金の格差や地域格差だけでなく、「医療との付き合い方の格差」も健康寿命に影響することを考えさせます。

病気になってから慌てて病院を探すのではなく、日頃の健康相談や予防接種、健診結果の相談などを通じて、自分に合う医師かどうかを確認しておく。

医師との関係に不満を感じている方、親の病院選びを考えている方、かかりつけ医を見つけたい方、そして人生後半を健康で長く過ごすために「医療との付き合い方」を見直したいすべての方に、ぜひ読んでほしい一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【4186日目】