『「定年力」の鍛え方 老後の毎日を最高にする方法』
「定年を迎えた次の日、何をするか決まっていますか?」― 人生100年時代、定年は人生のゴールではなく、長い人生後半戦のスタート地点です。ところが、現役時代には仕事を中心に生活が組み立てられているため、定年後に突然「お金」「時間」「人間関係」「生きがい」という問題に直面する人も少なくありません。本書は、老後を「後悔」ではなく「希望」に変える実践力を「定年力」と名づけ、その鍛え方を体系的に解説した一冊です。
本日紹介するのは、1971年滋賀県生まれ、東京リーガルマインド、ソニー生命を経て2001年にFPとして独立し、25年以上にわたりFP試験対策講座の講師を務めるとともに、FP相談、講演、YouTubeなどで活動する一般社団法人日本定年力検定協会代表理事、CFP認定者の栗本大介さんと、1974年京都府生まれ、専門家事務所勤務を経て2001年に相続手続き支援センターを設立し、全国38カ所に拠点を展開して相続手続きのプロフェッショナルとして活動する一般社団法人日本定年力検定協会専務理事、相続手続き支援センター代表の米田貴虎さんが書いた、こちらの書籍です。
栗本大介・米田貴虎『「定年力」の鍛え方 老後の毎日を最高にする方法』(翔泳社)
本書が提唱する「定年力」とは、老後を後悔ではなく希望に変えるための実践力です。具体的には、「最低限の経済的基礎知識を身につける力」「健康を守り、生活習慣を整える力」「家族や地域、社会とつながりを持ち続ける力」「新しい趣味や学びに挑戦し、生きがいを育む力」という4つの力から成っています。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.リタイア後の現実に目を背けるな!お金・時間・生活の落とし穴
2.50代から始める!後悔しないリタイアのためのマインドセット
3.リタイア後の不安を解消!お金・生活・住まいの守り方
4.貯蓄から投資へ!賢く増やす、リタイア後のお金
5.家族を守る!後悔しない相続・遺言準備
6.夢を叶える!「定年力アップ実践ノート」の作り方
本書の前半では、定年後に直面する現実と、50代から準備しておきたいマインドセットについて、以下のポイントを中心に説明しています。
◆ 定年後に本当に大きく変化するのは「収入」だけではなく、1日の時間の使い方や人間関係、社会との接点である
◆ 現役時代は会社が用意してくれていた「予定」「役割」「居場所」を、定年後は自分自身で作っていく必要がある
◆ 老後2000万円問題など「いくら必要か」という数字だけに振り回されず、自分がどんな暮らしをしたいのかを先に考える
◆ 定年後の準備は退職直前になってからではなく、50代のうちから仕事以外の人間関係、趣味、学び、生きがいを育てておくことが重要
◆ 「定年力」は知識を得るだけでは身につかず、自分の現状を把握し、将来を具体的にイメージして行動に移すことで鍛えられる
この本の中盤では、リタイア後の不安の中心となる「お金・生活・住まい」、そして資産形成について解説されています。主なポイントは次の通りです。
◆ 老後のお金は「資産がいくらあるか」だけで考えるのではなく、年金などの収入と毎月の支出を把握し、キャッシュフローで考える
◆ 住まいについては持ち家か賃貸かという二者択一ではなく、老後の生活動線、維持管理費、介護の可能性まで含めて検討する
◆ 長寿化によって老後期間が長くなれば、現金や預貯金だけで資産を持つことにもインフレなどのリスクがある
◆ リタイア後も「貯蓄から投資へ」という視点を持ち、リスク許容度を考えながら資産を長持ちさせる仕組みを作ることが大切
◆ お金に関する漠然とした不安は、資産、収入、支出を「見える化」し、自分に必要な金額を具体的に把握することで小さくできる
本書の後半では、相続・遺言の準備と、定年後の夢を具体化する「定年力アップ実践ノート」を解説・紹介しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 相続トラブルは資産家だけの問題ではなく、家族仲が良い家庭でも、遺産分割をきっかけに発生する可能性がある
◆ 遺言書は「財産をどう分けるか」だけでなく、自分の意思を家族に明確に伝えるための重要な手段になる
◆ 相続や介護、認知症については、本人が元気で判断能力があるうちから家族と話し合っておくことが重要
◆ 定年後の人生設計では「不安への備え」だけでなく、「やりたいこと」「会いたい人」「行きたい場所」など希望を書き出すことも大切
◆「定年力アップ実践ノート」を活用して、現在の自分と未来の希望を可視化し、具体的な行動計画に落とし込むことで、定年後を主体的に設計できる
本書で私が最も共感するのは、「定年後に必要なのは、お金の準備だけではない」という考え方です。しかし、仮に十分な老後資金が準備できたとしても、「毎日何をして過ごすのか」「誰と会うのか」「自分は社会の中でどんな役割を持つのか」が決まっていなければ、充実した人生後半戦にはなりません。
私は、人生100年時代の定年後ライフスタイルは、「住む場所」「付き合う人」「時間配分」の3つで決まると考えています。現役時代は、この3つの多くを会社が決めています。
とくに重要なのは、「家族や地域、社会とつながりを持ち続ける力」と「新しい趣味や学びに挑戦し、生きがいを育む力」です。
人生100年時代には、60歳や65歳からでも20年、30年という長い時間があります。私はこの期間を、単なる「老後」と呼ぶのではなく、新しいキャリアやライフスタイルを作る「人生後半戦」と捉えることが大切だと思っています。
そのためには、定年後にいきなり何かを始めるのではなく、50代から少しずつ準備することです。会社以外の人と付き合う。副業を始める。資格を取る。大学や大学院で学び直す。地域活動に参加する。趣味のコミュニティを持つ。SNSやブログで情報発信を始める。
こうした小さな行動の積み重ねが、定年後の「居場所」「仕事」「人間関係」「生きがい」につながっていきます。また、本書の「定年力アップ実践ノート」という発想も実践的です。
人生後半戦を充実させるためには、頭の中で漠然と考えるだけではなく、「自分はどう生きたいのか」を言語化することが重要だからです。
人生100年時代に必要なのは、「完璧な老後計画」ではありません。環境の変化に合わせて、自分の働き方、暮らし方、お金の使い方、人との付き合い方を柔軟に変えていく力です。
その意味で「定年力」とは、単なる老後対策ではなく、「人生後半戦を自分でデザインする力」と言い換えることができるでしょう。
定年が近づいて漠然とした不安を感じている50代の会社員、すでに定年を迎えてこれからの生き方を考えている60代、そして夫や妻、親の定年後の暮らしについて考えたい方に、ぜひ読んでほしい一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、ひとり起業、資産形成、健康、旅行など、人生後半戦を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
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では、今日もハッピーな1日を!【4187日目】








