「現代の経営学は、実学として、ノウハウや経営に対する『最適な処方箋』を提供すると同時に、科学として、経営という行為とそれを行う組織と個人に関する『普遍的な法則』を示す、という二兎を追う狩人として確立された知の体系を築くに至った。」と述べて、「経営戦略とは何か?」――そんな問いに壮大な視座から迫り、実務と理論を再編する一冊があります。
本日ご紹介するのは、慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、オックスフォード大学で博士(経営学)を取得し、小売・IT分野で起業した経験を持ち、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京・フランクフルト両支社で戦略コンサルタントとして活躍。現在は慶應義塾大学総合政策学部准教授を務める傍ら、社外役員や顧問としても活躍する、国際経営と経営戦略の専門家の琴坂将広さんが著した、こちらの書籍です。
琴坂将広『経営戦略原論』(東洋経済新報社)
この本は、有史以前から近未来のAI・IoT時代に至るまで、経営戦略の形成・理論化・実践・フロンティアの4部構成で俯瞰し、学術と実務の叡智をつなぐ“経営戦略の大系”を提示した実践理論書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.経営戦略の形成――紀元前から一九六〇年代まで
2.経営戦略の理論化――一九六〇年代から二〇〇〇年代まで
3.経営戦略の実践――理論と現場をつなぐもの
4.経営戦略のフロンティア――経営戦略の現代的課題
この本の冒頭では、「本書は、実学としての経営戦略と、社会科学としての経営戦略を一体として扱う。」「実学としての経営戦略は『最適な処方箋』をめざす。社会科学としての経営戦略は『普遍的な法則性』をめざす。本書は、この二つの異なる方向性をそれぞれ概観することで、経営戦略を理解し、実践するために必要となる根源的な知見を幅広く提供する。」と述べています。
本書の前半(第1部・第2部)では、「戦略論の起源から理論化まで」を歴史的な流れの中で丁寧に解説します。主なポイントは以下の通りです。
◆ 古典から資本主義の黎明期における戦略思考の萌芽
◆ 1960年代以降のポーター理論やRBV(リソース・ベースド・ビュー)の登場
◆ 実務的視点を取り入れた理論の進化の潮流
◆ 実学(処方箋)と科学(普遍性)という二つの戦略論の軸
◆ 理論の制限を超える批判的視点の重要性
この本の中盤(第3部)では、「理論と現場をつなぐ実践」に主眼を置き、多国籍企業やコンサル実務から得られた示唆に基づき解説します。主なポイントは次の通りです。
◆ 理論を現場に適用するためのフレーム設計
◆ データ駆動と専門家判断のバランスの取り方
◆ 戦略策定と実行プロセスの統合
◆ ステークホルダー志向を貫く視点
◆ 規模や業界を超える普遍的戦略思考
後半(第4部)では、「AI・IoT・ビッグデータ」など最新テクノロジーを背景にした、戦略論の未来的課題を提示します。主なポイントは以下の通りです。
◆ デジタル時代における戦略の意味と設計
◆ 非連続変化への対応力と敏捷性(アジリティ)
◆ 現場自律とAI活用の組み合わせ
◆ データを戦略資源として活かす思考法
◆ グローバル視点の戦略フレームの再構築
この本の締めくくりとして著者は、「経営戦略は実学としての最適な処方箋であり、社会科学としての普遍的法則を目指す営みである。AI時代の新たな問いに応えるためには、その両輪を強く意識する必要がある」と述べています。
あなたも本書を手に取り、経営戦略の原理原則から最新の適用まで、一本の系譜として“筋道”を理解し、組織や自身の戦略実践に活かしてみませんか?
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では、今日もハッピーな1日を!【3757日目】