書評ブログ

『続 定年バカ』

「定年後は自分の好きにすればよい」と提唱して、多くの読者の支持を集めた『定年バカ』の続編が刊行されました。

 

 

本日紹介するのは、1947年大分県生まれ、明治大学政治経済学部卒業、洋書輸入会社に34年間勤務して退職したのち、執筆活動をしている勢古浩爾さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

勢古浩爾『続 定年バカ』(SB新書)

 

 

この本は、2017年末に刊行された『定年バカ』(SB新書)にて扱った「お金に焦るバカ」「生きがいバカ」「健康バカ」「社交バカ」「定年不安バカ」「未練バカ」「終活バカ」というテーマの続編として、2年経った時点で改めて、その後に刊行された「定年本」を著者なりに斬って、「自分の好きにすればよい」という勢古さんの主張と比較して紹介している書です。

 

 

 

続編である『続 定年バカ』(SB新書)の特徴は、この2年間に「人生100年時代」社会現象として定着するくらいに、メディアで連日、取り上げられ、関連書籍も数多く出版される中で、敢えて「自分の好きにすればよい」を貫いている著者の姿勢を示しているところです。

 

 

 

本書は以下の11部構成から成っています。

 

 

1.まえがき-定年本の息の根を止めたつもりだったのに

 

2.たかが定年。されど定年

 

3.「人生100年時代」バカ

 

4.「すぐ死ぬんだから」のバカ

 

 

5.「老後あと2000万円必要」のバカ

 

6.「おひとりさま」の勘違いバカ

 

7.「(裕福な)あんたはいいよ」というバカ

 

8.「自分がそうだから」といってるだけのバカ

 

 

9.「死ぬまでいってろ」のバカ

 

10.この「クソみたいな世界」のなかで

 

11.橘曙覧の「独楽吟」がいい

 

 

 

この本の冒頭で著者は、定年本がいつごろから書かれているのかアマゾンで調べてみた結果を紹介しています。

 

 

 

最初に載っているのは、1957年の福原麟太郎の『停年の設計』です。

 

 

 

次に1961年、毎日新聞経済部『定年準備の手引き』、続いて、1963年の源氏鶏太『停年退職』です。

 

 

 

 

さらに、1965年は、所武雄『ある朝突然に-脳卒中で定年を迎えて』と、労働省婦人少年局『女子の定年制』

 

 

 

 

その次が、1972年の那須宗一『定年-55歳の試練』で初の新書。

 

 

 

そして、1975年の岡田誠三『定年後』になります。

 

 

 

1957年から1975年の18年間に出版された定年本はわずか7冊で、その後に出てくるのは、1988年の白石真『粗大ゴミ日記 定年夫婦に捧げる本』となっています。

 

 

 

1990年代に入ると、1990年の小林淳宏『定年からは同行二人』、そして1997年が石坂豊干『定年万歳‼ たのしいセカンド・ライフのはじめ方』と、小倉厚『定年後は山歩きを愉しみなさい』となり、後ろの2冊は現在の風潮に近い、と著者は解説しています。

 

 

 

 

 

さらに以下の4冊が紹介され、最後の重松清『定年ゴジラ』が1998年に出版、ヒットしたことで、2000年前後から「定年本」が注目され、さらに団塊世代の定年が社会問題となった2005年ごろから「定年本」が急増することになりました。

 

 

 

 

 

 

 

その後、「人生100年時代バカ」として、人生100年時代の定年後を扱った本を紹介し。著者の論評を加えています。

 

 

 

最初に出てくるのが、人生100年時代の火付け役となったリンダ・グラットン『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)です。

 

 

 

そして何と、「不安の押し売り」として、私が昨年4月に出版した『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)が、5ページ(P34~P38)にわたって引用され、著者の感想が述べられています。

 

 

 

私が『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)で提唱したのは、ある意味、著者の勢古さんと大局的な考え方で、私の本は「不安の押し売り」で、定年後なんて「なるようにしかならない」「自分の好きにすればよい」というのが勢古さんの主張。

 

 

 

私は、50代か、できれば40代半ばくらいから、「トリプル・キャリア」の人生設計を念頭に置いて、しっかり準備したほうがいい、ということ。

 

 

 

もともと私と勢古さんとは、まったく相容れない考え方なので、本書で酷評されているのはある意味、当然です。最後は「勝手にしてくれ」で締めくくられています。

 

 

 

私は、アチーブメント青木仁志社長が推薦する、人生は日々の「選択の積み重ね」の結果という、ウィリアム・グラッサー博士の『選択理論』と同じ考え方で、人それぞれの選択が人生だと思っているので、私の考え方は単にその中の一つに過ぎません。

 

 

 

 

全ての方々が、「トリプル・キャリア」を目指す必要はないし、それはあり得ない、とも考えています。押し売りをする気も毛頭なく、単なる情報提供ですが、ただ私の情報を受けて、その通りに向かう方はきっと幸せな人生になる、と思うだけです。

 

 

 

ともかくも、勢古さんのベストセラー『定年バカ』の続編に取り上げていただき、5ページにもわたって引用の上、論評してもらったのはたいへん光栄なことです。

 

 

 

また続いて、私はとてもいい本だと思ってブログに書評も書かせていただいた井戸美枝さんの『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる!』(集英社)が紹介・引用されて、勢古さんの論評が加えられています。

 

 

 

とても面白い感想が披露されていますので、ぜひ拙著の論評部分と併せてお読みいただければと思います。

 

 

 

この本の中盤以降でも、内館牧子、中山庸子、下重暁子、五木寛之、松原惇子、黒川伊保子、成毛眞、吉越浩一郎の各氏の著書について、著者の勢古節が炸裂しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また後半では、「90歳まで働く」を持論にしている郡山史郎さん、齋藤孝さん、野口雄志さん、森永卓郎さん、荻原博子さんの著書も紹介して、論評を重ねていて興味深く読めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私と著者の勢古さんとは読んでいる定年分野の書籍については殆ど重なっていますが、まったく違った感想を持つのが、本当に面白いです。

 

 

 

本書の最後に、橋下治、佐野洋子、樹木希林3名の死について記されています。ぜひ、著者の死生観についてもここで汲み取って欲しいと感じます。

 

 

 

 

 

 

巻末には、橘曙覧「独楽吟」が紹介されています。

 

 

 

 

この本は、これまでの「定年本」を幅広く読み込んで解説し、著者なりの「好き嫌い」で斬って、論評を加えており、様々な点で参考になり、お薦めです。

 

 

 

あなたも本書を読んで、世の中の「定年本」について、深く考える機会とし、自らの人生観を見直してみませんか。

 

 

 

2020年6月12日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第123回】人生100年時代の新しい「定年バカ」にて紹介しています。

 

 

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!