「人生は、いつも順風満帆の晴れの日ばかりというわけにはいきません。時に、停滞することもあれば、激しい風雨にさらされることもあります。」と述べて、「心の雨の日」の過ごし方を綴った本があります。
本日紹介するのは、1947年栃木県生まれ、早稲田大学卒業後、外資系企業の管理職などを経て、1985年にヒューマン・ギルドを設立し、アドラー心理学に基づくカウンセリンング、カウンセラーの養成をしてきたアドラー心理学カウンセリング指導者、上級教育カウンセラーの岩井俊徳さんが書いた、こちらの書籍です。
岩井俊徳『失意の時こそ勇気を-心の雨の日の過ごし方』(コスモス・ライブラリー)
この本は、中国思想にある「陰陽」の考え方でいえば、「陰の時」に込められたメッセージを読み取り、その時期の生き方の知恵を提供しようとする書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.人生の晴れの日、雨の日
2.心の雨の日を過ごした人たち
3.二毛作の人生を生きる
4.心の雨の日を過ごす五つの知恵
5.真の楽観主義、そして勇気を
この本の冒頭で著者は、晴れの日の「陽」と雨の日の「陰」は、一方だけで成り立っているのではなく、両方セットになっている、と述べています。
降り続く雨もいつかは止んで青空が広がるように、「陰の時」はやがて「陽の時」に変わります。大切なのは、雨の日は雨の日なりに過ごすこと、雨の日にしかできないことをすること、と著者は言います。
いま、挫折感を味わったり、失意の時を送っていたりしていても、それによって生きる勇気まで失う必要はないのです。
「陰の時」にはエネルギーをしっかりと内側へ向け、充電の時、癒しの時ととらえ、リラックスして再創造に備えるのだ、と本書では提唱しています。
次に、人生の軌跡をライフライン(人生の足跡)として描くことを勧め、「著者のライフライン」を公開しています。
これは、人生に影響を与えた重要な出来事を、「陰の時」(マイナス)と「陽の時」(プラス)に分けてプロットし、曲線として時系列に描くものです。私も、定年後キャリア研修で、「人生とキャリアの棚卸し」を行う際に描くことを提唱しています。
さらにこの本では、交感神経と副交感神経との関係にも照らし合わせ、精神科医、神田東クリニック院長の島悟・京都文教大学教授の著書『メンタルヘルス入門』(日経文庫)で整理している以下の対比を紹介しています。
◆ 交感神経・・・・昼間の神経、戦う神経
◆ 副交感神経・・・夜間の神経、癒しの神経
続いて、中村天風著『成功の実現』(日本経営合理化協会出版局)でも述べている「陽中の陰の時」のメッセージについて説明しています。
著者によれば、「陽中の陰の時」のメッセージの受け取り方のポイントは、次の5つです。
◆ 出来事に耳を傾けよう
◆ 感情・感覚のシグナルに敏感であろう
◆ 夢の変化に気づこう
◆ 健康(身体症状)に留意しよう
◆ 他者のフィードバックに謙虚であろう
本書の中盤では、「心の雨の日を過ごした人たち」として、次の3名を紹介しています。
◆ 森鴎外
◆ 川淵三郎
◆ ベートーヴェン
そして、老いもまた「成長のプロセス」ととらえ、人生の再創造として「人生二毛作」を著者は提唱しています。それは、「青春の忘れ物」を二毛目の人生で実現するのです。
具体的に、「二毛作の人生を生きた人たち」として、以下の3名を挙げています。
◆ 伊能忠敬
◆ 吉野俊彦
◆ 酒井雄哉師
この本の後半では、心の雨の日を過ごす「五つの知恵」を、以下の通り説明しています。
1.変えられることと変えられないことを見極めよう
2.老病死の主人公になろう
3.よき師(メンター)を持とう
4.真の楽観主義を選び取ろう
5.いかなる時も勇気を持とう
本書ではそれそれについて詳しく解説されています。詳細についてはぜひ、この本を手に取ってお読みください。
あなたも本書を読んで、「雨の日の過ごし方」を学び、失意の時こそ勇気を持って生きてみませんか。
2020年5月30日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第110回】アドラー心理学が教える「心の雨の日の過ごし方」にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!