今日の国際紛争を地政学的見方から読み解いた本があります。相手の思考方法や世界のルールを熟知すれば近未来予想も可能になって日本の取るべき選択肢もはっきり見えてくる、と説いている本です。
本日紹介するのは、駿台予備学校の世界史講師である茂木誠さんが書いた、こちらの書です。
茂木誠『世界史で学べ!地政学』(祥伝社)
この本は、地政学(ジオポリティクス)とは何か、を歴史的な定義の変遷と同時に、今日の世界の課題に照らして考察している書です。
本書によれば、地政学(ジオポリティクス)とは、リアリズムの一つであり、帝国主義の論理です。国家と国家が国益をかけて衝突するとき、地理的条件がどのように影響するかを論じます。
アメリカのマハン、イギリスのマッキンダーが、海洋国家(=シーパワー)としての地政学を構築しました。海軍による海上交通路(=シーレーン)の確保を最重要視する理論です。
これに対抗する形で、第一次世界大戦の敗戦国ドイツで、ハウスホファーが、大陸国家(=ランドパワー)としての地政学を練り上げました。
第二次世界大戦中に日本は、「大東亜共栄圏」を提唱しましたが、モデルを提供したのはドイツのハウスホファーです。
敗戦後の日本では、地政学の研究自体が禁じられ、タブー視されてきたため、今日でも我が国の地政学研究は大きく立ち遅れた状況にあります。
そうした中で本書は、地政学の入門書としては最適な書で、以下の12部構成から成っています。
1.いまなぜ地政学が必要なのか?
2.アメリカ帝国の衰退は不可避なのか?
3.台頭する中国はなぜ「悪魔」に変貌したのか?
4.朝鮮半島-バランサーか、コウモリか?
5.東南アジア諸国の合従連衡
6.インドの台頭は世界をどう変えるのか?
7.ロシア-最強のランドパワーが持つ三つの顔
8.拡大し過ぎたヨーロッパ-統合でよみがえる悪夢
9.永遠の火薬庫中東①-サイクス・ピコ協定にはじまる紛争
10.永遠の火薬庫中東②-トルコ、イラン、イスラエル
11.収奪された母なる大地アフリカ
12.2050年の世界と日本
地政学(ジオポリティクス)は、国家間の対立を地理的条件から説明するものです。国境を接していれば、領土紛争や移民問題が必ず発生します。
つまり隣国同士は潜在的な敵だ、という考え方であり、現在の日本が関係を悪化させているのは、隣国の韓国や中国であって、日本がナイジェリアやアルゼンチンと争うことはありません。遠すぎるからです。
歴史観や世界観をしっかりと持つためには、地政学は有効であり、本書は今日の国際紛争を地政学的見地から読み解いた書という意味で、有益だと思います。
あなたも本書を読んで、世界の常識である「地政学」について、きちんと学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を