書評ブログ

『超入門 デジタルセキュリティ』

「DX時代にデジタルセキュリティ対策を十分にせずにデジタル化を進めると、国外の企業や政府にデータを盗まれてしまう現実があるので要注意である。」と警告を発し、そんな情勢の中で日本はどう戦っていくべきなのかを解説している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1969年神奈川県生まれ、警察庁に入庁、神奈川県警本部外事課長、国家公安員会補佐官、インターポール(国際刑事警察機構)事務総局経済ハイテク犯罪課長、同情報システム・技術局長、INTERPOL Global Complex for Innovation(IGCI)初代総局長、警察庁長官官房国際課長等を歴任し、2019年からヤフー執行役員、2020年からZホールディングス常務執行役員 / Group Chief Trust & Safty Officer、日本サイバー犯罪対策センター理事中谷昇さんが書いた、こちらの書籍です。

 

中谷昇『超入門 デジタルセキュリティ』(講談社+α新書)

 

 

この本は、インターポールのサイバー総局で総局長を務めた著者が、生活に密接につながるデジタル社会の実態と、国際情勢の中でのデータをめぐる主導権争い、そして日本がどうこの時代を生き抜いていくべきなのかについて、「超入門」的予備知識として、知ってもらうべくまとめた書です。

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

1.デジタルセキュリティ 何が問題なのか

2.世界のデジタルデータ勢力図と日本

3.日本に迫るサイバー危機、デジタルセキュリティの現在地

4.私と「デジタルセキュリティ」

5.ハイテクニカル・デジタルデータ覇権

 

 

この本の冒頭で著者は、「データは漏洩ではなく、盗まれている」と述べています。

 

 

本書の前半では、「デジタルセキュリティ 何が問題なのか」および「世界のデジタルデータ勢力図と日本」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 個人データでは、①個人情報保護、②経済安全保障の2つのポイントがある

◆ スパイ防止法がない日本は何でもOKの「インテリジェンス特区」

◆ デジタル庁は強固なセキュリティを

◆ セキュリティ対策のための規格設定を

 

◆ データを世界的に支配しているのは米中

◆ 世界最強国家アメリカのサイバー攻撃を暴露したスノーデン

◆ 中国のサイバーインテリジェンス

◆ 国際機関での競争力をそぐ日本官僚の「減点方式」

 

 

この本の中盤では、「日本に迫るサイバー危機、デジタルセキュリティの現在地」および「私とデジタルセキュリティ」をテーマに、以下のポイントを解説しています。

 

◆ 自衛隊のサイバーセキュリティ対応の限界

◆ ハッカーにはセキュリティを破る能力がある

◆ 警察庁サイバー局はまず人材を集めること

◆ 日本の強さは、経済、文化、安全で安心な国というブランド

 

◆ 日本の「デジタル敗戦」

◆ すでに着弾している「デジタルミサイル」

◆ セキュリティクリアランスの必要性

◆ 経済安全保障の情報保全3つのポイント(➀資本、②技術の提供、③人)

 

◆ 中国のデジタルシルクロード戦略

◆ 中国の「おもてなし」パワー

◆ 政治への干渉を禁じられたインターポール

◆ 求められる「空気を読まない力」

 

 

本書の後半では、「ハイテクニカル・デジタルデータ覇権」について考察しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 日常の行動、趣味嗜好は丸裸に

◆ 利便性とリスクが隣り合わせ

◆ 監視ソフトの威力

◆ 狙われるプラットフォーム企業

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「デジタル社会は、データが主役になる社会メカニズムになっている。」と述べています。

 

 

したがって、「実空間とネット空間(=サイバー空間)が融合して相互に影響を与えるデジタル社会においては、自分で自分のデータを守らなければならないという意識を持つことが重要だ。」としています。

 

 

あなたも本書を読んで、デジタルセキュリティに関する世界の最新情勢を学び、日本がやるべきことを理解し、自ら実践していきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2679日目】