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『日本の絶望ランキング集』

「日本衰退に関する議論は抽象的になりがちで、日本の国際的地位がどう下落しているのか?どの分野がどういう具合に衰退しているのか?という詳細についてはなかなか見えてこない。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、大阪府出身で、国税庁で10年間、法人税担当調査官として勤務し、退職後に経理事務所などを経て、フリーランスのライター・作家となり、執筆、ラジオ出演、連続ドラマの監修など幅広く活躍している大村大次郎さんが書いた、こちらの書籍です。

 

大村大次郎『日本の絶望ランキング集』(中公新書ラクレ)

 

この本は、深刻な少子化社会となって、国家存亡の危機とも言える状態の日本について、国際データを集め、衰退の具体的な理由を知ることで改善策を探っている書です。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.社会インフラは途上国並み

2.病院は多すぎ医者は少なすぎ…いびつな医療界

3.なぜ日本経済は中国に喰われたのか?

4.先進国で最悪の貧富の格差

5.世界最大の債権国

6.少子化問題は起こるべくして起こった

 

この本の冒頭で著者は、「国際データを集めると、私たち自身の知らない意外な事実が判明することも多い。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「社会インフラは途上国並みおよび「病院は多すぎ医者は少なすぎ…いびつな医療界」ついて、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 日本のインフラは途上国並み(地方の下水普及率は途上国以下)

◆ 日本は世界有数の災害死者数

◆ 街中に電柱があるのは、先進国で日本だけ

◆ 公共事業が地域経済を破壊

◆ 日本は公園整備も遅れている

 

◆ 日本は病床の数が世界一多い

◆ 集中治療室が異常に少ない日本

◆ 日本は医師の数が異常に少ない

◆ 日本は寝たきり老人の数が世界一

◆ 精神科ベッド数が断トツの世界一

 

 

この本の中盤では、「なぜ日本経済は中国に喰われたのか?」および「先進国で最悪の貧富の格差」ついて解説しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 韓国より低い日本の製造業の生産性

◆ 日本の電機メーカーは安易に向上を海外移転させた

◆ 工場の海外移転が労働生産性を低下させた

◆ 企業の海外進出を後押しする日本政府

 

◆ 日本は先進国最悪レベルの貧困率

◆ 先進国で賃金が上がっていないのは日本だけ

◆ 日本では超富裕層が激増、世界有数の個人金融資産

◆ 技術の盗用は主要産業全体に及ぶ

◆ 貧困世帯の多くは生活保護を受けていなくて、自殺大国に

 

 

本書の後半では、「世界最大の債権国 」および「少子化問題は起こるべくして起こった」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 日本は世界最大の債権国

◆ 諸悪の根源は「キャリア官僚の天下り」

◆ 外貨準備高は実質的に世界一

◆ アメリカ国債を世界で最も保有

 

◆ 先進国で日本だけが急速な少子化

◆ 少子化の原因の1つは非正規雇用

◆ ひとり親家庭に厳しい日本

◆ 消費税が少子化問題を悪化させた

◆ 金持ちの子しか大学へ行けない

 

この本の締めくくりとして著者は、「日本が衰退している原因は、明白である。工場などの生産設備を安易に海外移転させたこと。人件費を抑制し続けてきたこと」と述べています。

 

さらに、「キャリア官僚と開業医の既得権益は、国民経済の最大の負担となっており、日本社会を蝕む大きな原因となっている。」と述べています。

 

 

あなたも本書を読んで、国際データをしっかり見ることで、日本の真実を理解し、衰退の原因を分析してみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3230日目】