「私たちは『何かをする』ことと『何もしないこと』ことの差を見失いつつあります。」「自分で自分を癒やす『セルフケア』の時代が来ている」と述べて、「十分な休息は十分な睡眠と同じくらい重要だ」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、イギリス出身の作家、心理学者、人気のラジオプレゼンターで、サセックス大学で心理学の客員教授でもあるクラウディア・ハモンドさんが書いた、こちらの書籍です。
クラウディア・ハモンド『休息の化学 息苦しい世界で健やかに生きるための10の講義』(TAC出版)
この本は、世界135カ国から1万8000人が参加して行われた大規模な「休息調査」(Rest Test)の結果をもとに、回答者が休息になると挙げた活動のトップ10を紹介し、分析・解説をしている書です。
本書は以下の12部構成から成っています。
1.休息のすすめ
2.【第10位】マインドフルネス
3.【第9位】テレビ(動画コンテンツ)を見る
4.【第8位】空想にふける
5.【第7位】入浴
6.【第6位】長めの散歩
7.【第5位】特に何もしない
8.【第4位】音楽を聴く
9.【第3位】一人になる
10.【第2位】自然のなかで過ごす
11.【第1位】読書
12.しっかり休息するためのルール
この本の冒頭で著者は、「十分な休息は十分な睡眠と同じくらい重要だ」と述べています。休息に価値を見出し、見直し、謳歌すべきときが来ている、ということです。休息は贅沢品ではなく、必需品なのです。
本書の前半では、休息の第10位から第8位まで、「マインドフルネス」「テレビ(動画コンテンツ)を見る」「空想にふける」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ マインドフルネスに専念すること自体が休息
◆ マインドフルネスは、身体の慢性的な痛みを和らげ、不安を解消し、免疫システムを増強する
◆ マインドフルネスとして瞑想をした人は、脳の動きに変化をもたらす
◆ マインドフルネスは日常生活に気軽に取り入れられる
◆ テレビは多くの面で、休息の理想的な形
◆ テレビ視聴の魅力はリラックス効果
◆ テレビは社会的な潤滑油
◆ テレビを長時間見る人は平均的に幸福度が低い傾向がある
◆ ただとりとめもなく空想する状態が、くつろぎになる
◆ 思考を自由に移ろわせれば、ストレスも煩わしさも減る
◆ マインド・ワンダリングは、脳は停止することなく、活性化していることを示す
◆ 空想は、自分自身、人間関係、世界と自分の関係について、理解を深める助けになる
この本の中盤では、休息の第7位から第4位まで、「入浴」「長めの散歩」「特に何もしない」「音楽を聴く」について考察しています。著者が挙げるポイントは次の通り。
◆ 入浴は清潔の手段に加え、くつろぎとリラックス
◆ 温泉はストレスホルモンのコルチゾールの値を下げる
◆ 温かい風呂は身体の深部体温を下げ、入眠を助ける
◆ 入浴は心臓にもよい効果をもたらす
◆ 散歩には何も考えない「無」と発見の「新」の完璧なバランスがある
◆ 歩くことの最も偉大なメリットのひとつは、人を家庭と職場の要求から逃がしてくれること
◆ 歩くことは、時間の速さを、自然だと感じる速度に正してくれる
◆ 歩くことは、座ることからの解放
◆ 休暇は長生きのいち要因になり得る
◆ ときには何もしないで過ごす時間が本当に必要
◆ 漸進的筋弛緩法でリラックスする
◆ 新しい記憶は、覚えてすぐに休息をとって何もしない時間をつくることによって定着しやすくなる
◆ 好みが広いほうが、音楽をリラックスに役立てやすい
◆ 音量とテンポは、安らぎに影響する
◆ 休息用プレイリストをつくって、お気に入りの音楽を聴く
◆ うつ症状がある人は、悲しい音楽を二人以上で聴くのは避けるべき
本書の後半では、休息の第3位から第1位まで、「一人になる」「自然のなかで過ごす」「読書」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 一人きりになるまで本当の意味で休まらない
◆ 一人で過ごすメリットは、他人からアイデンティティを押しつけられないこと
◆ 慢性的な孤独は、健康へのリスクになり得る、一人時間とのバランスが重要
◆ 一人になることは、自分自身を失って、考えを一新する機会になる
◆ 自然は心を落ち着かせてくれる
◆ 自然は眺めるだけでも癒しになる
◆ 田舎の景色は脳に負担をかけることなく、意識を整える余裕を与える
◆ 自然のなかにいると、世界は大きくて静かなひとつの存在なのだ、と実感でき、深く自分を省みる機会を得られる(概観効果)
◆ 読書は熱心な読書家にとっては格別にリラックスできる活動
◆ 本から読み取る内容は、日常生活で本当に起きていることと同じくらい、脳にとってはリアル
◆ 読書でくつろげるのは、自分の世界から逃避できるから
◆ 読書する人は、平均的に寂しさを感じにくい
◆ 本を読む人は、平均2年くらい長生きする
この本の締めくくりとして著者は、「しっかりと休息するためのルール」を次のように紹介しています。
1.必ず十分な量の休息をとる(1日に5~6時間)
2.休息に適した材料を選ぶ(やりたいことをする)
3.休息する許可を自分に与える
4.ストレスを感じたら、好きな休息活動を15分間するように自分に指示を出す
5.見過ごしがちな休息時間に目を光らせる
6.無駄な時間を休息時間と捉える
7.忙しさに執着しない
8.「ノー」と言う
9.手帳にアポと同じように休息を書き込む
10.日常に小さな安らぎの瞬間をつくる
11.休息ボックスをつくる
12.安らぎを得る努力をストレスにしない
あなたも本書を読んで、生き苦しい世界で健やかに生きるための「休息の科学」を学び、元気な自分でいるために実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2579日目】