「いま、講師の世界は二極化が進んでいます。稼げる講師は、ますますお声がかかり、場合によってはお断りせざるを得ない状態になっています。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、一部上場の旅行会社、ベンチャー企業、外資系人材ビジネス会社など経て独立起業し、現在は人づくりの講師で、株式会社アイル・キャリア代表取締役の五十嵐康雄さんが書いた、こちらの書籍です。
五十嵐康雄『稼げる講師、稼げない講師 どこが違うか』(あさ出版)
この本は、成功している講師から考え方やノウハウを学び、自分なりに工夫を積み重ねてきた著者が、「営業」「準備」「本番」など、講師の仕事をするうえで必要なことをトータルに押さえつつ、それぞれ具体的なポイントを伝えてくれる書です。
本書は、次のような人のために書かれ、以下の5部構成から成っています。
◆ いつか講師になりたいと思っている人
◆ 好きな仕事を増やして稼いでいきたい講師
◆ セカンドキャリアや副業として、講師をしたい人
1.仕事を絶やさないための「講師のあり方」
2.リピートされる講師がしている営業方法
3.稼げる講師がやっている研修・セミナーの準備
4.稼げる講師がやっている研修・セミナー中に気をつけていること
5.ずっと必要とされる講師であるためにしていること
この本の冒頭で著者は、「講師とは、人が成長、変化するお手伝いができる、とてもやりがいのある仕事です。自分の持っているノウハウ、経験などを伝え、学びの場を提供することで誰よりも自分が学び、成長できる仕事でもあります。」と述べています。
本書は、稼げる講師と稼げない講師を対比させながら、仕事を絶やさず、リピートされ、稼げる講師がやっている営業面・準備面のポイントを分かりやすく解説しています。私がとくに共感し、実践しているポイントは以下の通りです。
◆ 自分の人生棚卸しをして、自分の「武器」(強み)を自覚して、活かす努力をする
◆ いつまでも謙虚でいる
◆「戦う場所」を先に決め、セルフイメージを大切にする
◆ 価値を認めてくれるお客様と付き合う
◆ お客様の要望を超えるものを提案する
◆「早い者順」で仕事を受ける
◆ 平常心を保ち、「いつもの自分」で挑む
◆ 研修・セミナーの全体像を把握して準備する
講師にとって「平常心」とともに、エネルギーを蓄えることも重要で、それらを達成するために、著者の五十嵐さんが行っている起床から会場入りまでに行っている、次のようなルーティンを紹介しています。
1.軽いストレッチと筋トレ
2.靴磨き
3.シャワーを浴び、ミッションを唱え、自分への宣言、鏡に向かって笑顔
4.瞑想
5.アンカーソング&フォト(お気に入りの音楽を聴く、画像を見る)
続いて、稼げる講師が「本番中」に気をつけていることとして、以下のポイントを挙げています。
◆ とっておきの “ つかみ ” から話を始める
◆ ご当地ネタ、方言、受講者全員を巻き込んで交流する場をつくる
◆ 受講者の様子を見ながら臨機応変に対応する
◆ 終わり方が大切(=心温まるポジティブなメッセージ、最も伝えたかったことなど)
◆ 会場を動き回りながら、失敗体験を交えて話す
◆ 研修の冒頭で、細かい決め事を伝える(終了時間・休憩時間・質問時間・飲食の可能な範囲・空調など)
◆ 受講者と対話しながら進め、身近な例で解説する
◆ アリストテレスの説得の3要素(①エトス=人間性、②パトス=感情、③ロゴス=論理)を意識して話す
◆ 事実、感情、要求の3つに分け、順番に伝える
◆ PREP法(Point=論点、Reason=理由、③Example=事例、Point=結論)で話をする
◆ 専門用語を「事前予告」と「後づけ説明」で挟んで説明する
◆ 研修・セミナーを自らの学びの場とする
本書の最後では、「ずっと必要とされる講師」であるために、やるべきことが書かれていて、ポイントは次の通りです。
◆ 居心地の悪い環境にも身を置き、失敗から学び続ける
◆ 自己管理を徹底し、「お金」よりも「時間」を大切にする
◆「掛け算」で強みをつくり、スキマ時間はインプットに努める
◆ 興味を持ったらすぐ行動する
また、この本の後半には以下のCOLUMNおよびシートが掲載されていて、参考になります。ぜひ、熟読して活用されることをお薦めします。
◆ COLUMN:受講者の心に残る研修・セミナーをするために(研修の振り返りシート)
◆ COLUMN:キャリアの棚卸しチャートの書き方(キャリアの棚卸しチャート)
最後に著者は、ドラッカーの著書でも紹介されているイソップ寓話「石切り職人」の話を紹介し、講師も同じだと述べています。
「講師は人の成長を促し、変化を与えるやりがいと誇りを持てる仕事」と繰り返し述べています。
そして「仕事にどんな思いで取り組むか。そこに大きな意味があり、その人の講師としての真の価値が生まれます。講師自身が前へ前へと進み続ける。その姿を見せることで、コンテンツ以上の “ 何か ” を伝えられるのではないか」と著者は言います。
あなたも本書を読んで、「稼げる講師」とは何かを学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!