「精神科は死から最も遠い診療科だと思っていた。しかし、それは大きな思い違いだった。」― 本書は、精神科救急病院の最前線で働く現役精神科医が、閉鎖病棟の日常と精神医療の現実を赤裸々に綴った、衝撃の医療ノンフィクションです。

本日紹介するのは、1980年代生まれ、大学卒業後、外科医を志すも挫折し、精神科医の道へ進む。30代のころには離婚をきっかけに自らもアルコール依存を経験。現在は関東地方X県の精神科救急病院に勤務し、救急の最前線であらゆる精神疾患に向き合う現役精神科医駒木爽さんが書いた、こちらの書籍です。

駒木爽『精神科医おどおど日記―閉鎖病棟24時、本日当直、あらゆる精神疾患寝ずに診ます』(三五館シンシャ)

 

本書は、統合失調症、うつ病、双極性障害、認知症、アルコール依存症など重症患者が入院する閉鎖病棟を舞台に、精神科医が日々直面する葛藤や苦悩、そして患者との交流を通して「正常とは何か」を問いかける一冊です。

この本の冒頭で著者は、精神科こそ若者の死と最も近い場所であると語ります。

20〜30代の死因の第1位自殺です。その多くは、自殺直前に精神科を受診すれば何らかの精神疾患と診断される状態だったといいます。精神科医は「命を救う最後の砦」として、日々重い現実と向き合っています。

 

本書は以下の4部構成から成っています。

1.閉鎖病棟は戦場だ

2.のがれのがれて精神科

3.診られる側も、診る側も

4.正常ってなんですか?

 

本書の前半では、閉鎖病棟の壮絶な日常が描かれています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 統合失調症や認知症、双極性障害など重症患者との日々

◆ 電気けいれん療法など精神科医療の現実

◆ 希死念慮を抱える患者への対応

◆ 発達障害やオンライン診療を巡る課題

◆ 医療現場の理想と現実のギャップ

 

この本の中盤では、著者自身が精神科医になるまでの歩みが語られます。主なポイントは次の通り

◆ 外科医を目指しながら精神科へ転じた経緯

◆ 医師自身がうつやアルコール依存と向き合った経験

◆ 離婚や人生の挫折から得た学び

◆ 精神科医という仕事を続ける理由

◆ 医師自身もまた一人の人間であること

 

本書の後半では、「正常とは何か」という本質的なテーマに迫ります。主なポイントは以下の通りです。

◆ 統合失調症や妄想との向き合い方

◆ 発達障害に対する社会の誤解

◆ 産後うつや家族の苦悩

◆ アルコール依存症という「否認の病」

◆ 患者も医療者も支え合うことの大切さ

 

本書の魅力は、精神疾患を特別視したり、美化したりせず、現場で起きている出来事を一人の医師の視点から誠実に描いていることです。

暴言を浴びせられることもあれば、患者の自死に直面することもあります。理想論だけでは到底乗り越えられない現実の中で、それでも患者に寄り添い続ける著者の姿勢からは、精神医療の厳しさと同時に、人間への深いまなざしが伝わってきます。

精神疾患は決して特別な人だけの問題ではありません。誰もが心を病む可能性がある現代だからこそ、本書は精神医療への理解を深める貴重な一冊となっています。医療関係者はもちろん、メンタルヘルスや現代社会の課題に関心のある方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【4147日目】