『ひとり終活:不安が消える万全の備え』
「みんな最後は『ひとり』になる――しかし、準備をどうするかでその充実度は大きく変わります。」― 若い頃には気楽だったひとり暮らしも、年齢を重ねるにつれて、「自宅で突然倒れたら」「認知症になったら」「死後の手続きは誰がしてくれるのか」といった不安が増えてきます。大切なのは、不安を抱え続けることではなく、元気なうちに具体的な備えをしておくことです。
本日紹介するのは、1969年大阪生まれ、奈良女子大学大学院修了、第一生命経済研究所主席研究員を経て、30年以上にわたり死生学を研究し、2019年よりシニア生活文化研究所代表理事として、「没イチ会」やひとり暮らし高齢者向け「シニア食堂」などを運営、「終活」に関する講演でも知られる小谷みどり(こたに・みどり)さんが、ひとり暮らしの老後に必要な具体的な備えを解説した、こちらの書籍です。
小谷みどり『ひとり終活:不安が消える万全の備え』(小学館新書)
「終活」というと、遺言書を書く、葬儀や墓について決める、財産を整理するといった「死後の準備」を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、本書が扱う「ひとり終活」は、それだけではありません。自宅で急に倒れたら誰が気づいてくれるのか。認知症になったら誰がお金を管理してくれるのか。体が不自由になったら買い物や各種手続きを誰に頼むのか。亡くなった後の葬儀、納骨、住居の片づけや契約解除を誰に任せるのか。
つまり「ひとり終活」とは、死後への備えだけでなく、老後を最後まで自分らしく生きるための準備なのです。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.ひとりで暮らす時代
2.不安に備える
3.死後にやらなくてはならないこと
4.自分の意思を誰に託すか
5.人はひとりで死ねない
本書の前半では、ひとりで暮らす高齢者が増えている現実と、老後に生じるさまざまな不安への備えについて、以下のポイントを説明しています。
◆ 未婚だけでなく、離婚や死別によって、誰もが人生の最後には「ひとり」になる可能性がある
◆ 老後の不安は漠然と心配するのではなく、「何が心配なのか」を具体的に整理することから始める
◆ 住まいでは、ひとり暮らしでも安心できる「高齢者向け住宅」という選択肢を検討する
◆ 急病や自宅での事故には、異変を知らせる「見守りサービス」を利用して備えることができる
◆ 元気で判断力があるうちに準備を始めることが、「ひとり終活」の最も重要なポイントになる
この本の中盤では、判断能力や身体機能が低下した場合と、亡くなった後への具体的な備えについて解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、「任意後見制度」を活用する方法がある
◆ 身体が不自由になった時には、「任意代理契約」によって生活上の手続きを任せることができる
◆ 葬儀、納骨、各種契約の解約など、死後には本人に代わって誰かが行わなければならない手続きが数多くある
◆ 「死後事務委任契約」を結んでおけば、葬儀や墓、住居の整理などを信頼できる人に託せる
◆ 財産だけでなく、医療、介護、住まい、葬送などについても、自分の希望を元気なうちに整理しておく
本書の後半では、自分の意思を誰に託すのか、そして人とのつながりをどう築くかについて説明・提言しています。
◆「ひとり終活」で重要なのは、必要な時に自分を支えてくれる人や仕組みをあらかじめ確保しておくことである
◆ 家族がいてもすべてを任せられるとは限らず、専門家や民間サービスなど複数の選択肢を持つ
◆ 契約を結ぶだけでなく、自分の希望や価値観を周囲に伝えておくことが重要になる
◆「没イチ会」や「シニア食堂」のような、緩やかな人とのつながりも孤立を防ぐ支えになる
◆「ひとりで生きる」ことと「孤立する」ことは違い、人は最後まで誰かとの関係の中で生きていく
本書を読んで最も印象に残ったのは、「ひとり終活」は、おひとりさまだけの問題ではないということです。
結婚していても、夫婦が同時に亡くなるケースは多くありません。どちらかが先に亡くなれば、残された側は「ひとり」になります。
子どもがいても、遠方に住んでいたり、仕事や子育てで忙しかったりすれば、すべてを任せることは難しいでしょう。
つまり、「最後は誰もがおひとりさまになる可能性がある」という前提で備えておく必要があります。
その際に大切なのが、「お金」と「人」と「制度」を組み合わせることです。お金があっても、認知症になれば自分で管理できなくなる可能性があります。
頼れる人がいても、その人に法的な権限がなければ銀行や行政の手続きを代行できないことがあります。
だからこそ、任意後見制度、任意代理契約、死後事務委任契約、見守りサービスなどを理解し、自分に必要な仕組みを元気なうちにつくっておくことが重要になります。
もう一つ、本書が強調しているのが「人とのつながり」です。著者自身が運営する「没イチ会」や「シニア食堂」も、家族だけに依存しない新しいつながりの形でしょう。
人生100年時代には、血縁だけではなく、友人、地域、趣味の仲間、専門家、民間サービスなど、複数の緩やかなつながりを持つことが老後の安心につながるのだと思います。
終活とは、死ぬ準備ではありません。むしろ、最後まで自分らしく生きるために、元気な今から準備することです。問題を一つずつ具体化して準備することで、漠然とした老後不安は小さくなっていきます。
ひとり暮らしの人だけでなく、夫婦で暮らしている人、子どもがいる人も含め、人生後半を安心して自分らしく生きるために、50代・60代からぜひ読んでおきたい一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、ひとり起業、資産形成やライフスタイルなど、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCIwJA0CZFgYK1BXrJ7fuKMQ
では、今日もハッピーな1日を!【4209日目】








