「アメリカ大統領選挙の年には、アメリカのメディアは言うまでもなく、アメリカに取材拠点を置く各国メディアも選挙報道に多くの時間を割く。しかし、選挙の年に取材をしているだけでは、アメリカの本当の姿に近づくことは難しいだろう。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1971年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業、NHK記者として入局、国内政治、アメリカ政治を中心に取材、報道局政治部、アメリカ総局(ニューヨーク)などを経て、2019年からロサンゼルス支局長、2023年から沖縄放送局コンテンツセンター長の及川順さんが書いた、こちらの書籍です。
及川順『引き裂かれるアメリカ:トランプをめぐるZ世代の闘争』(集英社新書)
この本は、4年に1度行われる大統領選挙のタイミングで、アメリカ社会の分断の行方を、現在起きている諸現象から推察している書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.加速する分断の中で
2.分断を先導する若者たち
3.分断に対抗する若者たち
4.分断回避を試みる若者たち
5.若者たちはどこへ向かうのか
この本の冒頭で著者は、選挙戦が本格化する前の段階から、できるだけ多くの現場に行き、活動している若者たちの思いを直接聞き、自分の考えに自信を持って雄弁に語る若者たちの力強さを感じている、と述べています。
本書の前半では、「加速する分断の中で」および「分断を先導する若者たち」について以下のポイントを説明しています。
◆ 対話の拒絶、リベラルへの嫌悪感に基づく右傾化
◆ 急進左派から極右までの政治的スペクトラム
◆ 保守派のコア・バリュー
◆「ターニング・ポイント・USA」の若さ・力強さ・スタイリッシュ
◆ ケリー・レイク、タッカー・カールソン、ケイリー・マケナニなど保守派著名人の登壇
この本の中盤では、「分断に対抗する若者たち」および「分断回避を試みる若者たち」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆「YSDA」の取材では、ワクチン・陰性証明・マスクを要求
◆ 社会主義を身近にしたバーニー・サンダース氏
◆ 人工妊娠中絶とパレスチナ
◆ Z世代による団体「Voters of Tomoorrow」
◆ 経済格差問題を人種問題の構造から歴史的に学ぶ「エスニック・スタディーズ」
本書の後半では、「若者たちはどこへ向かうのか」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 若者たちの政治的スペクトラム:急進左派・プログレッシブ・リベラル(中道左派)・無党派・保守(中道右派)・保守(極右)
◆ 公教育の厳しい現状(教員不足)
◆ 週四日制の導入で教員を確保
◆ 公教育への信頼低下で分断の再生産
この本の締めくくりとして著者は、「若者をテーマに取材をしたのは、長い時間軸でアメリカの未来を予測するための手がかりを得たかったからだ。」と述べています。
あなたも本書を読んで、トランプをめぐるZ世代の闘争の現場取材を通して、「引き裂かれるアメリカ」の現実を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3566日目】