書評ブログ

『超高齢社会のリアル ー 健康長寿の本質を探る』

「今後、ますます進行する超高齢社会を健全に生き抜くためには、個人の心構えと努力はもとより、社会にしくみも変容していく必要がある。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、札幌医科大学卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)、札幌医科大学助教授、東京大学大学院客員教授、東京都老人総合研究所室長、同部長、同副所長、国立長寿医療研究センター所長を経て、2015年より桜美林大学大学院教授、同老年学総合研究所所長鈴木隆雄さんが書いた、こちらの書籍です。

 

鈴木隆雄『超高齢社会のリアル ー 健康長寿の本質を探る』(大修館書店)

 

 

この本は、「できるだけ疾病や要介護状態を先送りし、健康長寿の延伸に向けて歩むことの重要性を学ぶとともに、超高齢社会において誰もが覚悟する必要がある『生老病死』の現実、特に老いて、病んで、死んでいくという、言わば『不都合な真実』『考えたくもない現実』も含めて、超高齢社会の現実(リアル)について、できるだけ適切なデータと科学的根拠を紹介し、実生活に役立てる知識と智恵を身につける」ことを主眼として執筆された書です。

 

 

本書は以下の9部構成から成っています。

 

1.超高齢社会の姿

2.老化の実態

3.健康長寿延伸の表と裏

4.健康寿命を科学する(ヘルスリテラシー)

5.後期高齢者の実像:超高齢社会の主役

 

6.認知症を取り巻く現実と課題

7.「予防」の先にあるもの:予防の本質

8.地域包括ケアシステムと在宅医療

9.健康格差と命の格差

 

 

この本の冒頭で著者は、日本人の長寿化の要因として、次の5つの要因を挙げています。

 

◆ 社会経済的要因

◆ 医学の発展・医療の均展化と普遍化

◆ 著しい栄養改善

◆ 日本人特有の文化やライフスタイル

◆ 社会的結び付きや連帯

 

 

本書の前半は、「超高齢社会の姿」「老化の実態」および健康長寿延伸の表と裏」について、説明しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 2030年に向けて、①総人口は減少、②高齢者人口は増加、③単身高齢者が増加、④都市部での高齢化が顕著に、⑤社会保障制度の重要性が高まる

◆ 老化の先送り現象

◆ 人格と知能の変化

 

◆ 健康寿命延伸のための2つの戦略(①先延ばし戦略、②不健康寿命の短縮)

◆ 生活機能の重要性(日常・精神・身体・社会・経済の健康)

◆ 高齢者に対する医療の変化

 

 

この本の中盤では、「健康寿命を科学する(ヘルスリテラシー)」「後期高齢者の実像:超高齢社会の主役」および認知症を取り巻く現実と課題」について、以下のポイントを解説しています。

 

◆ ヘルスリテラシー(健康情報に関する理解力、判断力、実行力)

◆ 健康情報を読み解くポイント(横断研究か縦断研究か、交絡要因、サンプル・バイアス、観察研究かランダム研究か、対照群の設定、データ公開と統計学的処理、利益相反)

◆ 後期高齢者のどこかでフレイルに(5項目基準)

◆ ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は、骨粗鬆症、変形性関節症、サルコペニア(加齢性筋肉量減少症)が中核をなす

 

◆ 低栄養(たんぱく質、アミノ酸、ビタミンDなど)

◆ オーラルフレイル(予防としての口腔ケア)

◆ 社会的フレイル(社会的孤立)

◆ 独居高齢者のリスク(うつ症状、クライシス、孤独死)

 

◆ 多剤服用、残薬の問題

◆ 認知症予防の運動と栄養(バランスよくいろいろな食品摂取の習慣)

◆ 認知症の9つのリスク因子

◆ 認知症予防には「人生の目的」を強く持つ

 

 

本書の後半では、「予防の先にあるもの:予防の本質」「地域包括ケアシステムと在宅医療」および健康格差と命の格差」について考察しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 老いと障害の発生(歩行・排泄・摂食)

◆ 必要不可欠な自立支援

◆ QOL(生命の質)とDQL(死の質)

◆ 地域包括ケアシステム

◆ 在宅医療と多職種連携

 

 

あなたも本書を読んで、超高齢社会のリアルを知り、健康長寿の質を探ることで、人生100年時代の生き方、老い方、死に方を考えてみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2753日目】