「生活の危機は、予告なしに急にやって来るのです。私たちはそんな不安の時代に生きています。」と述べて、危機に強い生活力をつけるための知識やノウハウを分かりやすく伝えてくれる本があります。
本日紹介するのは、1961年東京都生まれ、慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了、JPモルガン、チェースマンハッタン銀行に勤務、さらに国連ボランティア、企業コンサルタント、放送作家を経て、現在は経済評論家、ジャーナリストの佐藤治彦さんが書いた、こちらの書籍です。
佐藤治彦『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』(亜紀書房)
この本は、いつかまたやってくるだろう次の危機までに、より強い生活力をつけて、もっと不安の少ない生活を送るためにすべきことはどんなことなのかを書いている書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.まえがき
2.プロローグにかえて
3.新しい日常と私たちの生活。新しくなること、変わらないこと
4.10年後のお金の使い道は、10年後の自分に決めさせる
5.年金で知っておいてほしいことをひとつひとつ順に説明します
6.夫が亡くなったあと妻は年金をどれくらいもらえるのか?そして年金の未來は?
7.私たちの未来を再び明るいものにするための、税制と民主主義について考える
8.あとがき-いざという時のために貯めなくてはならないもの
この本の冒頭で著者は、「お金を増やす貯蓄術、お金にまつわる知っておきたい知識、うまく利用する技術。そして柔軟性。こうしたお金まわりの話を中心に思うことを綴ってみました。」と述べています。
本書の前半では、新型コロナウイルスの巣籠もり生活で見えてきたことについて、新しくなることと、変わらないことを整理して説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 貯蓄は安心と自由のためにする
◆ 税金やルール、仕組みを知って、行動すれば、きちんと得する
◆ ムダなものを買わない、使わないものにお金を使わない
◆ 行き過ぎた断捨離は危険
◆ 適度な備蓄は安く買えるだけでなく、いざという時に慌てずに済む安心感
◆ 本当に安いかどうかは、お金を払った時には決まらない、商品が役割を果たした時に決まる
◆ ストレスにまつわる支出は避けて通れないが工夫すること
◆ モノを所有する、から利用する、楽しむに
続いてこの本の中盤では、住まいと保険について考察してします。著者が提唱しているポイントは次の通りです。
◆ 家を手に入れることに人生をあっけてしまうと、その家を手放せなくなる
◆ 理想的な住まいとは、それぞれの人生の中で、年齢や家族構成の変化、自分自身の変化で変わっていくもの
◆ 住まいが変わることで家賃だけでなく、生活全体の支出も変わるはず
◆ プライバシーが保て安心な避難場所を自分自身で確保する
◆ より長い補償・契約期間でまとめ払いが保険料を割安にするコツ
◆ 健康は保険では買えない
◆ お守り保険は高くて役に立たない保険
◆ 買いすぎたトイレットペーパーはいつか使うことはできるが、一度払った生命保険は取り戻せない
本書の後半では、年金で知っておくべきこと、および年金の未來について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 年金の空白期間はきちんと埋める
◆ 年金を満額もらうことにこだわる
◆ 平均や標準のことでなく、自分や家族がいくらもらえるのかにこだわる
◆ 年金崩壊はしないまでも、年金が減らされる可能性はある
◆ 遺族厚生年金の金額は比例報酬部分の75%
◆ サラリーマンの妻が繰り下げ支給を選択するのなら、まずは基礎年金部分を考える
◆ 年金制度や社会保険制度のことをきちんと把握し、もらえるもの、利用できるものを徹底的に利用する
◆ 多少の経済変動が起きても、できるだけ困らないように生活スタイルを柔軟に変化できるような生き方をする
◆ 老後の資金を安心安全に作っていくのに必要なのは、投資や金融の知識よりもまずは税金や制度の仕組みを勉強することが先
◆ 一番大切なのは、健康で笑顔、幸せな気持ちで生きていくこと
◆ 政治がなすべきことは、まず、日本で普通に生きる人が幸せに暮らせるようにすること
◆ 年金制度にしがみつくこと
この本の最後で著者は、日本の未来を明るくするための税制と民主主義について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 家賃は究極の軽減税率
◆ 薬局で買う薬は消費税10%、医療機関が出した処方箋に基づく薬は、7割引きなのに消費税なし
◆ 政策の決定プロセスが国民に見えないところで決まっていく
◆ 有権者が決めた勝てる候補者で選挙を戦ってもらいたい、そのために予備選挙を
この本は、複雑で分かりにくい年金制度のポイントを整理して的確に解説し、また老後の資金を安心に作っていくための王道の方法や活用できるノウハウを公開していて参考になります。
新刊の拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)と併せて読めば、定年後の人生設計にすぐに役立つことが満載で、ぜひ併読をお薦めします。
あなたも本書を読んで、柔軟性のある生活力の環境づくりに挑戦してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2534日目】