書評ブログ

定年前起業をする人にピッタリ!超人気講師が教える『研修講師養成講座』

「サーバント・リーダーシップ」を日本に紹介して広めた真田茂人さんが、「受講生の意識が変わって自ら行動するようになる」という、ゼロから築いた「究極の研修講師スキル」を教えてくれる書が出版されました。

 

本日紹介するのは、株式会社レアリゼ代表取締役NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会理事長真田茂人さんが書いたこちらの本です。

 

真田茂人『大手企業から引っ張りだこの超人気講師が教える研修講師養成講座』(中央経済社)

 

この本は、「プロの研修講師」を養成するためのガイドであり、研修スキル講師としての心構えなど、研修講師として必要なことが全て書かれている良書です。

 

本書の構成は以下の15部から成っています。

 

 

1.研修講師のスキルとは
2.講師の役割
3.事前準備
4.環境設定
5.導入

 

6.場づくり
7.講師が身につけるべき基礎的テクニック
8.論理的納得を実現する
9.心理的納得を実現する
10.研修ファシリテーションのスキル

 

11.講師トレーニングの方法
12.自分でプログラムを作る
13.継続学習
14.プロ講師のすすめ
15.講師が研鑽すべきこと

 

 

本書の冒頭で著者の真田さんは、「研修の価値」として、知識を得てから、私たちがその知識を活かして行動するまでの「学習の5つのSTEP」を挙げています。以下の5STEPです。

 

 

1.知る
2.わかる
3.やってみる
4.時々できる
5.常にできる

 

 

真田さんは、「知る」だけであれば本を読む(=読書)だけでできる、と言います。「知る」から「わかる」へのSTEPは意外に難しく、「わかる」には以下の2つの段階があります。

 

1.論理的納得
2.心理的納得

 

まずひとつめの「論理的納得」とは、理屈を理解するということで、「1+1=2」を理解するように論理的に納得するものです。しかし、人は論理的納得だけでは行動しないのです。

 

それは、論理的には納得していても、ふたつめの「心理的納得」がないためです。「理屈ではわかるんだけど・・・・」という状態です。腑に落ちていないのです。

 

心理的に納得していないという原因は次の2つの場合です。

 

1.経験が不十分な領域で、言葉は理解できても具体的なイメージができない
2.内容そのものは理解できるが、感情的に受け入れがたい

 

人間には欲求があって、それが感情という形で作用するため起きる現象です。例えば、上から目線「これが正解だから早くやれ」と押し付けられたら、「正解だ」とわかっていても感情的に受け入れがたくなります。

 

研修講師は、こうした2つの納得段階を講師だけでやろうとせず、研修受講者同士の助け合いを活用します。「理解できる」、「腑に落ちる」というための支援を受講者同士の以下の効果を使うのです。

 

1.他人に説明する効果
2.他人の視点から見つめ直す効果

 

これは、講師が一方的に教え、伝えるだけでは得られない効果です。「知っていること」「わかっていること」は違います。また、「知っていること」「やっていること」もイコールではないのです。

 

 

と言うことで、次のSTEPは、「わかる」から「やってみる」へのSTEPについてです。ここが「学習の5つのSTEP」の最大の難所だ、と真田さんは言います。

 

ポイントは、理屈ではなく欲求に働きかけて「やってみたい」「やりたい」「やらないとまずい」といった感情を引き起こすことが必要で、そのために高いスキルが必要になります。

 

さらに、「やってみる」から「時々できる」への4STEPめと、「時々できる」から「常にできる」という最終STEPと続きます。どちらにも「壁」がありますが、「応用力」をつけたり、「試行錯誤」を繰り返すことで「壁」は乗り越えられます。

 

 

このあと本書では、研修のためのスキルやテクニックが具体的に紹介されています。長年の実践に基づいて体系化したものなので、参考になる箇所が満載です。

 

私がとくに印象に残ってのは、15部構成9番目にあたる「心理的納得を実現する」の項目です。人間の欲求についての分析や、「学習と成長のサイクル」は研修講師にとって必読の内容でしょう。

 

 

本書の巻末には、以下の先輩プロ講師2名に対するインタビューが掲載されています。ふたりとも研修講師一本のキャリアではなく、ハイブリッド型のキャリアで成功した方です。

 

1.大谷佳子さん(流通系企業から講師へ)
2.櫻田毅さん(外資系証券会社から講師へ)

 

さまざまなビジネス経験を持ち、講師として独立起業しようと考えている方にとって、本書は最高の教科書になるでしょう。ぜひ一読をお薦めします。

 

では、今日もハッピーな1日を!