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小林正観 『もうひとつの幸福論』 (ダイヤモンド社)

小林正観氏は、学生時代から人間の潜在能力やESP現象、超常現象に興味を持ち、心学の研究を行ってきた。心理学博士、社会学博士、教育学博士として年間300回の講演活動を行ってきた。

 

本書は、人生の目的とは何かという問いに正面から答える書として、100%幸せな人々が実践している62の法則を紹介している。小林氏の他の著書とも共通している考え方が数多く出てくるが、それは著者の確信が強いということだろう。

 

小林正観氏によれば、99%の人々が教えられてきた価値観とは、「今、自分に足りないものを挙げ、それを手に入れるために努力する、頑張る」という人間の価値、生き方だ。

 

それに対して、著者が提唱する1%の人々が実践している 「もうひとつの価値観」とは、「自分がすでにいただいているものに感謝し、自分が恵まれていることに気がつき、嬉しい、楽しい、幸せ、・・・ と生きていること」だ。

 

すべての問題も出来事も、幸せに感じて「よき仲間に囲まれる」ことになり、「喜ばれる存在」になることこそが、人生の目的であり、幸せの本質である、という考え方だ。

 

小林氏は、結婚して3年後にやっと生まれた長女が知的障害者だったことで、そのことに気がついた、という。それは、人間の価値は、努力すること、頑張ることでは決まらないということだ。

 

笑ったり、感謝したり、頼まれごとをしたりすることで、「よき仲間に囲まれ」 て、「喜ばれる存在」 になることこそ、人間の価値であり、人生の目的だ。だからこそ、「人生は楽しむためにある」ということだ。

 

夢や希望や向上心という、耳触りの良い言葉を聞かされ、ひたすら努力を求められる99%の人々が実践する人生よりも、すでに幸せに囲まれていることに気がついて、すべてのことに感謝して、「ありがとう」を言う、1%の人々が実践する、「もうひとつの幸せ論」

 

それでは、本書で小林氏が提唱する「もうひとつの幸せ論」に基づく62の法則のうち、とくに印象的なものを紹介しよう。

 

1.「よき仲間」 とは、「あなたはあなたのままでいい」 と言ってくれる人々
2.人間が生きる目的は、「喜ばれる存在」 になること、他人と競ったり、比べたり、争って1位になることではない
3.人生の後半は、「何をするか」 ではなく、「誰とするか」 を考える
4.ヒトは、「神様」 が持つ 「感謝というエネルギー」 を分け与えられた唯一の存在
5.人生は、努力するものでも頑張るものでも地位や名誉を手に入れるものでもなく、「楽しむもの」 である

 

6.未来は確定的に存在していて、「自分が書いたシナリオ」 通りに進んでいく
7.「努力する人生」、「思い通りにする人生」 を選んだ人は、寂しい人かも
8.「感謝の心」 に目覚めると、「普通の出来事」 にさえ、幸せを感じるようになる
9.どんな境遇に直面しても 「ツイでいる」 と考えていると、その通りの減少が降ってくる
10.「心の中で思う力(想念)」 より、「口に出した言葉」 のほうが、はるかに大きなエネルギーを持っている

 

もうひとつの幸せという価値観で生きることを選びたい人、楽しい人生を送りたい人はぜひ、本書の一読を薦めたい。