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定年起業に向けて『地政学の逆襲』を読む

「影のCIAが予測する覇権の世界地図」と呼ばれる書があります。国際ジャーナリストから地政学のチーフ・アナリストとして活躍するロバート・D・カプランさんの最新刊を本日は紹介します。

 

ロバート・D・カプラン『地政学の逆襲』(朝日新聞出版)

 

この本は、1980年代から戦場ジャーナリストとして世界中を駆け巡っていた著者が、あるときからジャーナリズムに対して限界を感じるようになり、ニュースを超えたものごとを追及すべく、訪れた国の歴史や国際関係や地政学などの理論を勉強し、旅行記的でありながら、歴史や戦略分析などにも言及するスタイルを取っています。

 

本書を旅するように読み進めるなかで、地理が示唆する過去、現在、そして未来について考えてもらえればと、著者のカプランさんは言っています。

 

本書は大きく以下の3部構成ですが、その中をさらに全部で15の章に分けて展開しています。

 

 

1.空間をめぐる競争
2.21世紀初めの世界地図
3.アメリカの大戦略

 

 

次の15の章がこの本の骨組みとなる構成で、地政学の古典的思想家たちによる理論、次にアジアを核とする現代の世界地図における地政学的考察、そして覇権国家アメリカの戦略が整理されて述べられています。

 

 

1.ポスト冷戦の世界
2.地理の逆襲
3.ヘロドトスとその継承者たち
4.ユーラシア回転軸理論
5.ナチスによる歪曲

 

6.リムランド理論
7.シーパワーの魅惑
8.空間の危機
9.ヨーロッパの統合
10.拡大するロシア

 

11.大中華圏
12.インドのジレンマ
13.中軸国家イラン
14.旧オスマン帝国
15.岐路に立つメキシコ

 

 

本書はカプランさんの集大成ともいえる大作で、結論をひと言で要約するのは困難ですが、敢えて私の印象に残ったポイントを紹介すれば、以下の通りです。

 

 

◆ アジアの将来、とりわけ中国の経済が世界に及ぼす影響が重要
◆ 日本の対中政策は、中国の持つ「潜在能力」を見極めることがポイント
◆ アメリカは世界の覇権国家として、当面の間は実権を握り続ける
◆ EUは報道されている以上に深刻な状況に陥っていて今後さらに不安定化する
◆ 岐路に立つメキシコの動向が今後のアメリカにとって最も重要な地政学的ポイントになる

 

 

カプランさんが現在所属する米国のインテリジェンス企業ストラテジック・フォーカスティング(ストラスフォー)は、著書『100年予測』で有名なジョージ・フリードマンが率いる民間会社です。

 

『100年予測』(さらに『続100年予測』も刊行)における結論と同様に、ヨーロッパの将来は厳しく、トルコや最終的にはメキシコに焦点を当てて、覇権国家アメリカへの対抗勢力として分析しています。

 

 

こうした大局的な、地球レベルの分析は、定年前起業定年起業をする私たちスモールビジネスには無縁と考える人は多いかも知れません。

 

でも私の考え方はまったく正反対です。大局的、地政学的な思考法こそ、「戦わない」土俵「競争のない」事業領域を見つけ、オンリーワンのポジションを獲得する事業戦略には必須の考え方です。

 

あなたも「地政学の叡智」を本書から学び、戦わずに勝てるブルーオーシャンで、新たな定年前起業に挑戦してみませんか。

 

では、今日もハッピーな1日を!