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定年前起業に有効!『ウェブはグループで進化する』

世界はいま、急速な勢いで変化しています。ウェブの登場と発展により、人々が接する情報は飛躍的に増えました。情報が洪水のように押し寄せ、ウェブが人中心型へと姿を変える時代です。

 

そんな時代に成功を収めるためには、人々はどのようにつながり、どのようにコミュニケーションをとるべきか、本日紹介するのは、そうしたテーマに答える、こちらの本です。

 

ポール・アダムス『ウェブはグループで進化する』(日経BP社)

 

この本の著者ポール・アダムスさんは、プロダクト・デザインユーザーエクスオエリエンス・デザインの専門家です。工業デザイナーとしてダイソンなどのメーカーに勤務した後、デザイン会社に転職。

 

その後、グーグルに入社してGmailYou Tube を担当します。さらにソーシャルメディアに関する研究会を主宰し、2011年1月にフェイスブックに移籍して、ブランドデザイン部門のグローバル責任者を務めています。

 

まさに、世界のIT産業およびソーシャルメディアの最先端でキャリアを積んでいる方です。本書では、ソーシャルメディア時代の情報伝達の鍵を握るのは「親しい仲間」だと語っています。

 

本書の冒頭で著者は、世界はいま、急速な勢いで変化していて、新しい世界を築いているのは、次の4つの変化だとしています。

 

 

1.アクセス可能な情報の急増
2.ウェブの構造変化
3.人間関係を正確に把握し分析することが史上初めて可能になった
4.人の意思決定に関する研究の進歩

 

 

情報が洪水のように押し寄せ、ウェブが人中心型へと姿を変える時代。そんな時代に成功を収めるためには、人の社会行動について理解しなければならない、と著者は言います。

 

人々がどのようにつながり、どのようにコミュニケーションをとり、どのように影響を与え合っているかを理解しなければならない、ということです。

 

さらに人々がどのように意思決定するのか、その際に脳の構造や先入観といったものがどのように影響を与えるのか、といったことも理解する必要があります。

 

 

本書は以下の10部構成から成っています。

 

 

1.変化するウェブ
2.人々がコミュニケーションを取る理由と方法
3.ソーシャルネットワークの構造が与える影響
4.人間関係が与える影響
5.インフルエンサーという神話

 

6.周囲の環境が与える影響
7.脳が与える影響
8.先入観が与える影響
9.ソーシャルウェブにおけるマーケティングと広告
10.結論

 

 

本書では一貫して、「ウェブは人を中心にした構造へと変わりつつある」と提唱しています。情報量が爆発的に増える世界では、意思決定が難しくなっているためです。

 

情報は飛躍的に増える一方、人間の記憶力や情報処理能力がそれに伴って拡大するわけではありません。「情報が増えて記憶力は限られている」ため、人々は意思決定の際に、より他人の助けを求めるようになっています

 

また本書では、ソーシャルネットワークの構造が与える影響についても考察しています。結論は、あなたの友人の友人の友人まで、つまり、つながりを3回たどって到達できる人たちまでが影響が及ぶ範囲です。

 

例えばFacebookで、ひとり平均130人の友達を持っているとすると、友達の友達は1万人友達の友達の友達は100万人になります。

 

ソーシャルネットワークは独立した小グループで構成されており、グループをつなぐ役割を果たしているのは普通の人です。ひとりの強力なインフルエンサーによって情報が拡散するというのは誤解だ、と著者は述べています。

 

私たちが入手可能な情報量は爆発的な増加を見せつつありますが、人の情報処理能力と記憶力は以前と同じままです。社会に大量の情報が流れる時代には、人は友人から情報を得ることがますます増えていきます。

 

私たちが作り上げた情報過剰社会の中では、人はますます友人たちにアドバイスを期待するようになるでしょう。グループ内で影響を受けることが多くなります。

 

発信する情報が信頼を得るためには、以下の2点が必要になります。

 

 

1.信用
2.専門知識

 

 

これからは「妨害型マーケティング」ではなく、「許可型マーケティング」がビジネスの中心になっていくでしょう。「いいね!」をクリックして許可を得るFacebookページは、まさに現代のマーケティングにかなった手法です。

 

本書の最後に、これから数年で起こる変化について記載されています。以下の2点です。

 

 

1.ビジネスを人中心へと移行することが必要不可欠になる
2.新しい知識体系が求められるようになる-①人の社会行動、②ネットワーク、③人の思考回路
3.「独立した小規模な友人グループ」に焦点を当てよう

 

 

本書は、情報社会の進化の方向を示す、極めて示唆に富んだ書です。定年前起業を目指す人は必読の良書として、ぜひ一読をお薦めします。

 

では、今日もハッピーな1日を!