書評ブログ

ジェフリー・フェファー『権力を握る人の法則』(日経ビジネス人文庫)

ジェフリー・フェファー氏は、スタンフォード大学ビジネススクール教授で、専門は組織行動学だ。これまで13冊の著書があり、ハーバード・ビジネススクールやロンドン・ビジネススクールでも講師や客員教授を勤めている。

 

本書は、いくら仕事ができても昇進できないということを明らかにしている書だ。組織における出世や権力を握るには、実力とは違う以下の「7つの資質」が必要だと説いている。

 

1.決意 (努力と勤勉と根気。やり遂げる意思)
2.エネルギー (元気があること)
3.集中 (ひとつのキャリア、職務、スキルへの集中)
4.自己省察 (我が身を振り返る能力)
5.自信 (自信たっぶりに振る舞うこと)
6.共感力 (他人の立場でものを考える)
7.闘争心 (手強い相手にも堂々と渡り合える)

 

これらの資質を持っていて、さらに権力を握るための最大のポイントがある。それは、上司や昇進を決定する権力者との接触を増やすことだ。

 

言われてみれば当然なのだが、会話やコミュニケーションの頻度が高い人ほど、高く評価される傾向がある。権力を握るためのキーになる人物との関わりが多い人ほど出世するのだ。

 

本書の最後には、権力の代償も述べられていて、権力を握ることによって失うものもあることを明らかにしている。組織行動学に裏付けられた深い洞察が学べる本書を、全てのビジネスパーソンに薦めたい。