『決定版 統計学がマンガで3時間でマスターできる本』
「統計学は、数字に強い人だけのものではありません。状況を正しくつかみ、次に何をするかを決めるための、誰にでも使える道具です。」― 生成AIの普及によって、データ分析そのものは驚くほど簡単になりました。しかし、AIが計算してくれた数字やグラフを見て、「つまり、どういうことなのか」「次に何をすべきなのか」を判断する力は、むしろこれまで以上に重要になっています。本書は、統計学への苦手意識をマンガと身近な事例でほぐしながら、ビジネスに必要な「数字を見る目」を身につける入門書です。
本日紹介するのは、1982年生まれ、東京大学卒業、経営戦略論・イノベーション・マネジメント、国際経営を専門とする経営学者で、「アカデミーの力を社会に」をライフワークに掲げ、現在はオンライン経営スクール「やさしいビジネススクール」学長として、YouTube、研修、講演、コンサルティング、著作などを通じて経営知識の普及に取り組んでいる中川功一(なかがわ・こういち)さんが書いた、こちらの書籍です。
中川功一『決定版 統計学がマンガで3時間でマスターできる本』(明日香出版社)
著者は、『60分でわかる!行動経済学 超入門』(技術評論社)、『身近な話題とニュースで学ぶ ロジカルシンキング超入門』(すばる舎)、『決定版 行動経済学がマンガで3時間でマスターできる本』(明日香出版社)など、多数の著書があります。
この本は全80テーマを通して、棒グラフや折れ線グラフといった基本から、平均、標準偏差、偏差値、相関、回帰分析、確率、推定、さらに高度な統計手法までを、マンガと身近な事例を使って分かりやすく解説しています。
最大の特徴は、複雑な数式や計算方法を覚えることを目的にするのではなく、数字を見たときに「つまり、どういうこと?」と考え、データの背後にある現実を読み取ることを重視している点です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.統計学は何の役立つのか?―数字が見せてくれる偽りのない世界
2.数字の向こう側にある世界を映し出す―実態が見えるようにする「記述統計」
3.統計指標を組み合わせて社会を見る―二つの数字で「現代」を立体視する
4.数字の「見えないつながり」を読む―未来の姿を描き出す「相関」と「回帰」
5.「確率」をビジネスの武器にする―“不確実性”とうまくつき合う
6.限られたデータから全体をとらえる―今ある数字で未来を見通す「推測統計」
7.ちょっと高度な統計手法―データからより多くの情報を引き出す
8.統計学の技を実務で活かすために―実務のための統計センスを磨く
本書の前半では、「統計学は何の役に立つのか」「記述統計」「統計指標を組み合わせて社会を見る」というテーマを中心に、以下のポイントを説明しています。
◆ 統計学とは難しい計算をするための学問ではなく、数字やデータを使って現実をできるだけ正確につかみ、よりよい意思決定につなげるための道具である
◆ 棒グラフや折れ線グラフなど、小学校で習う基本的なグラフでも、「比較する」「全体の傾向を見る」「いつもと違う変化を発見する」という視点を持てば、ビジネスに十分活用できる
◆ 平均値だけを見て全体を判断するのではなく、データがどの程度ばらついているのかを見ることで、数字の背後にある実態をより正確につかむことができる
◆ 標準偏差や偏差値などの統計指標は、単独で暗記するのではなく、「その数字が全体の中でどの位置にあるのか」を理解するために使うことが大切である
◆ 一つの数字だけを見るのではなく、複数の統計指標を組み合わせて考えることで、社会や市場、顧客の姿をより立体的に捉えられる
この本の中盤では、「相関と回帰」「確率」「推測統計」を中心に、数字から関係性を発見し、不確実な未来を考える方法について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 二つの数字が一緒に動いているかどうかを調べる「相関」を理解すれば、売上と広告、価格と需要など、ビジネスの中に隠れている関係性を発見できる
◆ 相関関係があるからといって、必ずしも一方がもう一方の原因とは限らず、「相関関係」と「因果関係」を混同しないことが統計を見るうえで重要になる
◆ 回帰分析を使うことで、過去のデータから一定の関係性を捉え、将来の売上や需要などについて合理的な予測を行うことができる
◆ 確率とは未来を完全に当てるためのものではなく、結果が分からない「不確実性」を数字として捉え、より合理的な意思決定をするための考え方である
◆ すべてのデータを集めることができなくても、一部のサンプルを適切に分析する「推測統計」によって、母集団全体の特徴を推定し、限られた情報から未来を考えることができる
本書の後半では、より高度な統計手法と、実際の仕事で統計学を活用するための「統計センス」について解説・紹介しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 高度な統計手法を学ぶ目的も、複雑な計算そのものではなく、手元にあるデータからより多くの意味や情報を引き出すことにある
◆ 統計分析では、分析手法を使う前に「何を知りたいのか」「どんな意思決定に使うのか」という目的を明確にすることが重要である
◆ データがあるから分析するのではなく、仕事上の課題や仮説を持ち、それを確かめるために適切なデータと統計手法を選ぶ姿勢が求められる
◆ 数字は客観的に見えても、データの集め方やグラフの見せ方、比較する期間や対象によって印象が大きく変わるため、数字を鵜呑みにしない統計リテラシーが必要になる
◆ 統計学を実務で活かす最終的な目的は、分析結果を出すことではなく、そこから「では、次に何をするのか」という具体的な行動や意思決定につなげることである
本書を読んで私が最も大切だと感じたのは、統計学とは「計算力」ではなく、「現実を見る力」だということです。
私たちは日々、実に多くの数字に囲まれて生活しています。GDP、物価上昇率、平均賃金、株価、金利、人口、出生率、平均寿命、支持率、視聴率、アクセス数、フォロワー数、売上高など、ニュースや仕事で数字を見ない日はありません。
だからこそ、「この数字は何を表しているのか」「比較対象は適切なのか」「別の見方はできないのか」と問い続ける姿勢が大切になります。
私は、生成AI時代になって、統計学の重要性はさらに高まっていくと考えています。これまでは、回帰分析などの統計手法を使うには、一定の数学知識やExcel、統計ソフトなどを使いこなすスキルが必要でした。
しかし現在では、生成AIにデータを読み込ませれば、分析やグラフ作成、さらには結果の解釈まで短時間で行えるようになっています。つまり、これから重要になるのは、「計算できる人」以上に、「AIが出してきた分析結果が本当に正しいのかを判断できる人」です。
本書の「数字を見て、『つまり、どういうこと?』をつかめるようになる」という考え方は、まさにAI時代に必要なスキルだと思います。
数字やデータ分析に苦手意識を持っているビジネスパーソン、ニュースに出てくる統計数字を正しく読み解きたい方、そして生成AIを仕事に活用するための基礎的なデータリテラシーを身につけたい方に、ぜひ読んでほしい一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、読書術、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、AI活用など、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
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では、今日もハッピーな1日を!【4189日目】








