「膨大な情報を整理・分類・吟味・再構成して全体を把握し、必要なら他の類例も参照し、その上で自分の意見を固めるのは、莫大なエネルギーを要する。」「生活と時間に余裕のある人だけに許される特権的行為だ。多くの人は日々仕事に殺され、金欠にあえぎ、生活に疲れている。そんな余裕はない。」と述べて、多くの人々が「最近、本が読めなくなった。」と嘆き、長文読解力が低下している現状を分析している本があります。

スマートフォンや動画コンテンツの普及によって、私たちの情報の受け取り方は大きく変化しています。

本日紹介するのは、1974年生まれ、横浜国立大学経済学部卒。新卒でギャガ・コミュニケーションズに入社し、キネマ旬報社を経て独立し、著書『映画を早送りで観る人たち』で話題を呼んだライター・編集者稲田豊史さんが、「読書離れ」の背景にあるメディア環境の変化を分析した、こちらの書籍です。

稲田豊史『本を読めなくなった人たち ー コスパとテキストメディアをめぐる現在形』(中公新書ラクレ)

動画を倍速で視聴する「タイパ(タイムパフォーマンス)」志向は、読書にどのような影響を与えているのか。この本書では、実際に「本を読めない」と感じている人たちへの取材を通じて、現代のメディア環境を分析しています。

本書は以下の5部構成から成っています。

1.ニュースを無料で読む人たち ― 無料ウェブメディアの行き詰まり

2.本を読まない人たち ― 〈わかりみ〉と〈おもしろみ〉

3.本と出合えない人たち ― 無料抜粋記事と電子書籍の限界

4.本屋に行かない人たち ― 聖域としての書店

5.紙の本に集う人たち ― 読者と消費者

 

本書の前半では、無料ウェブメディアの普及によって変化した情報消費の実態が描かれます。情報は大量に手に入るようになりましたが、その結果、長い文章を読む習慣が弱まっていると著者は指摘します。主なポイントは以下の通りです。

◆ ニュースを無料で読むことが当たり前になった

◆ ウェブメディアのビジネスモデルの限界

◆ コスパ志向による情報消費

◆ タイパ重視のコンテンツ選択

◆ 情報の短文化

 

この本の中盤では、「本を読めない人たち」の意識が具体的に分析されます。現代の読者は「役に立つか」「すぐ理解できるか」といった視点でコンテンツを選ぶ傾向が強くなっていると言います。主なポイントは次の通り。

◆ わかりみ」を重視する読者心理

◆ 本に出合う機会の減少

◆ 無料抜粋記事の影響

◆ 電子書籍のメリットと限界

◆ コンテンツ消費の変化

 

本書の後半では、書店や紙の本の価値が再評価されます。本は単なる情報の媒体ではなく、人間の思考を深める文化でもあります。主なポイントは以下の通りです。

◆ 書店という文化的空間

◆ 紙の本が持つ体験価値

◆ 読者と消費者の違い

◆ 本との偶然の出会い

◆ テキスト文化の未来

 

動画やSNSが主流となる時代だからこそ、じっくり読む体験の価値はむしろ高まっているのかもしれません。日々ビジネス書を読み続けている私自身も、「読む力」がこれからの時代にますます重要になると感じています。

無料ウェブメディアは「他人の不幸」「エロ」「マンガ」「クイズ」しかPVを取れない風潮があり、「便所の落書き」に近づいた「X」や行き過ぎたエンゲージメント志向といった大きな欠陥・問題点が指摘されています。

現代のメディア環境を理解したい方、そして読書文化の未来を考えたい方におすすめの一冊です。

YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、読書や学びについて発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。

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では、今日もハッピーな1日を!【4035日目】