「トッド氏は、現存の知識人であるが、その著作は時代をとらえるために不可欠な古典になっているのである。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1951年生まれ、フランスの歴史人口学者、家族人類学者で、地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目する方法論により、トランプ勝利、英国EU離脱などを次々に予言してきたエマニュエル・トッドさん、思想史研究者・慶応義塾大学教授の片山杜秀さん、作家・元外務省主任分析官の佐藤優さんが書いた、こちらの書籍です。
エマニュエル・トッド・片山杜秀・佐藤優『トッド人類史入門 西洋の没落』(文春新書)
この本は、トッド氏のテキストを題材にして、読者に地下水脈に辿り着く道案内をする書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.日本から「家族」が消滅する日
2.ウクライナ戦争と西洋の没落
3.トッドと日本人と人類の謎
4.水戸で世界と日本を考える
5.第三次世界大戦が始まった
この本の冒頭で著者は、「トッド氏の『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』は、まさに先行思想のさまざまな型を踏まえているか、特にそれが日本との文脈で持つ意味について道案内する書籍が必要と私は考えた。」と述べています。
本書の前半では、「日本から家族が消滅する日」および「ウクライナ戦争と西洋の没落」について、以下のポイントを紹介・説明しています。
◆ 女性の地位が低下していった「家族」の歴史」
◆ 女性の個人主義と男性の集団主義
◆ 儒教文化圏で深刻な少子化
◆「家族」の重視が少子化を招く
◆ 世界で普遍的な役割を担うロシア
◆ 日本は「米国の保護領」
◆ 中国の深刻な人口問題、男女比100:118
◆ 英国のインテリジェンスの劣化
この本の中盤では、「トッドと日本人と人類の謎」について考察しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 不平等を作り出すメリトクラシー(能力主義)
◆「完璧さ」を過剰にめざす「直系家族社会」
◆ 日本論としてトッドを読む
◆「ロシアの危機」ではなく「西洋の危機」であるウクライナ戦争
◆ 隣国のない米国と隣国のある欧州
本書の後半では、「水戸で世界と日本を考える」および「第三次世界大戦が始まった」について解説しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 世界中で歴史意識が消失している
◆ 歴史は肉眼では見えない
◆ 戦争前から「破綻国家」だったウクライナ
◆「ヨーロッパ経済の崩壊」を待っているロシア
◆ GDPでは真の経済力は測れない
あなたも本書を読んで、トッドの人類学が解き明かした西洋の没落の意味を改めて考えてみませんか。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【3099日目】