書評ブログ

『よみがえる戦略的思考 ウクライナ戦争で見る「動的体系」』

「国際政治においては、『価値の体系』『利益の体系』『力の体系』という3つの要素が極めて重要だ。」と述べて、ウクライナ戦争をめぐる日本と世界のあり方を分析している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1960年東京都生まれ、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省、在ロシア連邦日本国大使館勤務、その後本省で主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍、2002年に背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、2009年に有罪確定(執行猶予付き)、現在は作家として活動している佐藤優さんが書いた、こちらの書籍です。

 

佐藤優『よみがえる戦略的思考 ウクライナ戦争で見る「動的体系」』(朝日新書)

 

 

この本は、「一冊の本」(朝日新聞出版)2022年8月~10月号「混沌とした時代のはじまり」に大幅に加筆修正し、「朝日新聞デジタル」2022年7月23日、2020年12月11日のインタビューを加えて書籍化したものです。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.国家間の関係を総合的に整理する

2.「強いロシア」にかけた安倍外交

3.歴史で見るウクライナ戦争

4.コメディドラマ『国民の僕』を読み解く

5.ロシアから見たアメリカ

6.ウクライナと核兵器を考える

 

 

この本の冒頭で著者は、「資源に乏しい日本がエネルギー問題をどう扱っていくか」「世界のパワーバランスと日本の生き残りをかけた戦略がかつてないほどに求められている。」と述べています。

 

 

本書の前半では、国家間の関係を総合的に整理する」および「強いロシアにかけた安倍外交」について、次のポイントを説明しています。

 

◆ 国家は力の体系、利益の体系、価値の体系

◆ NATO東方拡大や「ミンスク合意」破棄の解釈を政治化

◆ ロシアを孤立させることは難しい

◆警戒すべきは「価値観の肥大化」

 

◆「イリクーツク声明」に基づく安倍元首相の対ロ外交は合理的な交渉

◆ ロシアの政治エリートは安倍氏を評価

◆「ロシアの弱さ」につけ込まず「強いロシア」と共存する

◆ 活用せざるを得なくなる安倍氏の外交遺産

 

 

この本の中盤では、歴史で見るウクライナ戦争」およびコメディドラマ『国民の僕』を読み解く」について解説しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆「反ファシズムの雄」というロシアの自己認識

◆ スターリン体制下の大飢饉(ホロドモール)

◆ ウクライナ蜂起軍の英雄・バンデラ

◆ ウクライナナショナリズムの発祥地「キエフ・ルーシ公国」

 

◆ マフィア化したオリガルヒが経済を牛耳る

◆ 国際社会のウクライナ支援疲れ

◆ アメリカに「管理された戦争」

◆ ウクライナを盾に戦争を遂行することで、ロシアの疲弊を狙うアメリカ

 

 

本書の後半では、「ロシアから見たアメリカ」およびウクライナと核兵器を考える」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ ウクライナが穀物輸出できない

◆ レッド・ラインをめぐる米ロの合意

◆ ロシアを倒すのではなく弱体化させるのがアメリカの戦略

◆ アメリカの価値観が内部から崩れている

 

◆ 核抑止力は人間観が違えば効かない

◆ 日本の報道や有識者の言論は「価値の体系」に寄り過ぎている

◆ 日本が核開発をするなら原子力発電は維持できないルール

◆ 戦争は人間の心から起きる

 

 

あなたも本書を読んで、ウクライナ戦争で見る「動的体系」を学び、戦略的思考を身につけてみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2938日目】