「経営幹部になる人は、何を学んでいるのか」と問いかけ、会社を動かす経営学の基本を学び、戦略を策定して、自社の本当の事業として実践することを説いている本があります。
本日紹介するのは、慶應義塾大学法学部を卒業後、富士ゼロックスに入社し、慶應義塾大学大学院に派遣されて経営学修士号(MBA)を取得、1991年に株式会社イナクトを設立して、25年にわたってのべ5,000人以上の生徒を教えてきた高山信彦さんが書いた、こちらの書籍です。
高山信彦『経営幹部養成学校-エリートリーダーは経営学を使って会社を動かす』(ダイヤモンド社)
この本は、著者が行っている「経営学が実学として身につく」研修について、その概要とポイントをまとめた書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.経営の全体像を頭にインプットする
2.経営学で会社を動かすとは、どういうことか
3.学び続けるリーダー、学び続ける組織をつくる
4.あなたも会社も、必ず変われる
この本の冒頭で著者の高山さんは、自身が行う「経営塾」という研修の特徴として、次の2点を挙げています。
1.古典と呼ばれるような名著の精読を通じて、経営学の基本を徹底的に学び戦略を策定すること
2.策定した戦略を自社の本当の事業として実践すること
次に、まず経営戦略の「構造図」を頭に叩き込むことが大切だ、と著者は述べています。よくある誤解として、目標や計画、業務改善は「戦略」ではない、とこの本では説明しています。
さらに、リーダーには「抽象化・概念化」の能力が必須だと提唱しています。
そして、経営学には以下の4つの種類がある、とこの本では説明しています。
まず縦軸として、大きく2つ、「外側重視派(外部環境:顧客や競争相手を重視する派)」と「内側重視派」(内部環境:経営資源を重視する派」に分かれます。
そして横軸として、外や内での成功要因をロジカルに詰めていく「要因重視派」と、外や内での時間的経過の中でダイナミックなプロセスを重視する「プロセス重視派」に分かれます。
2つの軸で分類すると、戦略論は以下の4つのアプローチに分かれます。
◆ ポジショニングアプローチ(外側重視・要因重視)
◆ 資源アプローチ(内側重視・要因重視)
◆ ゲームアプローチ(外側重視・プロセス重視)
◆ 学習アプローチ(内側重視・プロセズ重視)
それぞれ4つの学派がお互いを批判し合うことがありますが、実務家としては、4つのどれかを選ぶというよりも、4つの視点から総合的に自社や自部門を見つめ、高いレベルでのバランスで戦略を考えていくべき、と本書では説明しています。
次に、リーダーが読むべき本として、次の6冊を挙げています。著者の高山さんが研修を行う際のテキストとして使用している書です。
これら書籍の中で、まず最初に入門として読むのが、恩蔵直人さんの書いた『マーケティング』(日経文庫)です。これだけは経営学の古典ではないですが、マーケティングの大家・フィリップ・コトラーの本の監訳を何冊も手掛けている恩蔵さんなので、マーケティングの基本がコンパクトに学べます。
そして、最も難解ですが中心となるのは、マイケル・ポーターの『競争優位の戦略』(ダイヤモンド社)です。1章、7章、そして1章に戻って順に読むのがいい、と高山さんは述べています。
推薦する6冊の概要と、その使い方がこの本では解説されています。そこで全体像を掴んだうえで、ぜひ原点である6冊を精読することをお薦めします。
本書の最後に、高山さんが実施する「経営塾」の目次案が紹介されています。6冊の本を読んで、以下の8点に沿って行動することを勧めています。
1.経営状況・全般の3C
2.問題意識とテーマ、テーマ選定の背景
3.2回目の3C(テーマに直結する3C)
4.ベンチマーク、理論研究(事業系テーマは省略可)
5.仮説、戦略モデル
6.実践(実践に至らない人は、仮説を持ってVOCによる検証を)
7.経営上の成果(FS)
8.今後のスケジュール(研修スケジュール2枚と実践スケジュール1枚)
目次のそれぞれについて、具体的な内訳となる項目がこの本では記されていて、参考になります。
とくにポイントになるのが、5番目の「仮説、戦略モデル」で、新STP+4P、新バリューチェーンなどです。そのための検証として、VOC (Voice Of Customers) を集めることが重要です。
おそらく意味がよく分からないと思いますが、詳細を知りたい方はぜひ、この本を手に取ってお読みください。
あなたも本書を読んで、会社を動かす、実学としての「経営学」を身につけてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を