書評ブログ

『官僚生態図鑑』

「ノンキャリアの一般公務員と比べれば、官僚は権力の大きさ、出世のスピード、天下りを含めた処遇など、ありとあらゆることが別次元になっている。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1957年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現・JT)に入社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て、現在は経済アナリスト、獨協大学経済学部教授で、50年間集めてきたコレクションを展示するB宝館(埼玉県所沢市けやき台2-32-5)が話題の森永卓郎さんが書いた、こちらの書籍です。

 

森永卓郎『官僚生態図鑑』(フォレスト出版)

 

この本は、財務官僚にとどまらず、霞が関の官僚全体を描き、『ザイム真理教』の全省庁バージョンの本です。

 

本書は以下の6部構成から成っています。

1.私が観察した官僚の生態

2.凋落し始めた官僚―私が観察した官僚の生態②

3.官僚の生態系に何が起きているのか?

4.官僚たちの生存戦略

5.なぜ官僚の政策は失敗するのか?

6.〝官僚生態学〟から7つの処方箋

 

この本の冒頭で著者は、「私の45年間にわたる職業人生のほとんどは官僚とともにあり、間近で彼らの生態を観察してきたのだ。」と述べています。

 

本書の前半では、「私が観察した官僚の生態および「凋落し始めた官僚―私が観察した官僚の生態②」について以下のポイントを説明しています。

◆ 官僚の飛び抜けた「知的能力」、頑強な体力、国のために尽くす高い情熱

◆ 官僚の8~9割はサラブレッドが占めている

◆ 官僚の年収は低いが、多くのフリンジ・ベネフィットがある

◆ 官僚にとって最大のフリンジ・ベネフィットは「天下り」

 

◆ 役所のために罪を犯しても官僚は有罪にならないという暗黙のルール

◆ 官僚を選ばない東大エリートたちの増加

◆ 変わりつつある激安家賃の公務員住宅と毒まんじゅう

◆「日本丸の舵取り」というフリンジ・ベネフィット

 

この本の中盤では、「官僚の生態系に何が起きているのか?および「官僚たちの生存戦略」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆「天下り規制」でも財務官僚は治外法権

◆ 報道機関は財務官僚に逆らえない

◆ 根こそぎ奪われた「官僚のやりがい」

◆ 合法的に、乗っ取り・インチキ商品・相場操縦で儲ける投資銀行

 

◆ 国家公務員の定年延長と国民年金保険料の納付期間延長

◆ 少子化の本当の原因は「結婚できない」こと

◆「子育て支援」で恩恵を受ける公務員パワーカップル

◆「仕事の楽しさ」を奪うトップダウン経営

 

本書の後半では、「なぜ官僚の政策は失敗するのか?および「〝官僚生態学〟から7つの処方箋」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 法律ができても進まない「首都機能移転」

◆ 給与カットは2年、復興増税は未来永劫

◆ 軽視される食糧安全保障

◆ 日の丸半導体逆転政策は失敗に終わる可能性大

 

◆ 官僚の報酬を3倍に

◆ 毒まんじゅうと天下りの全面禁止

◆ 官僚にも調査研究広報滞在費を

◆ 官僚を労働基準法の適用除外に

 

この本の締めくくりとして著者は、「優秀な官僚が1990年代以降、フリンジ・ベネフィットと政策の決定権をはく奪されて、すねてしまっている。そして、小市民化し、国家ではなく、自分たちの暮らしを改善するためのズレた政策遂行に邁進するようになってしまった。」「官僚の暴走が日本の経済社会停滞の大きな原因になっている」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、官僚の生態を理解し、「国のために働く官僚」とはそうあるべきかを考えてみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3571日目】