書評ブログ

『定年おめでとう』

68歳になった著者が、「一生で一番楽しい時期を過ごしているのであろうか」と、これまでの人生を振り返り、定年後の生活を披露している本があります。

 

 

本日紹介するのは、東京大学教養学部卒で、航空会社勤務中は、フランス、ベルギーに計9年滞在した経験を持つ渡辺格(ただし)さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

渡辺格『定年おめでとう』(講談社)

 

 

この本は、自称「世捨て人サラリーマン」として、やむなくサラリーマンになった著者が、ある日突然感じた「無常観」から、出世よりも自分の生活を大切にし、68歳になって、充実した「定年後」の生活を描いている書です。

 

 

釣りと犬をこよなく愛し、自然で旬の料理をたしなみ、心の思うままに生活する日々を綴っています。

 

 

この本は、2017年12月2日付ブログ記事にて書評を掲載した、勢古浩爾『定年バカ』(SB新書)の巻末に掲載されている「定年関連本」評価一覧の39冊の中で、「今のところ、定年本の頂点か。」と評価・紹介されていたので、すぐに取り寄せて読んだものです。

 

 

ブログ記事の書評は、こちらです。

 

『定年バカ』「定年後は何かしなきゃ、生きがいを持たなきゃ病」の呪縛を解く、と提唱している本があります。 本日紹介するのは、洋書...

 

渡辺格さんは、高校卒業後に3年浪人して、東京大学教養学部教養学科に入学し、フランスの文化と社会文科にて学んでいます。

 

 

3浪は、釣り1年、マージャン1年、将棋1年、ということにしているそうですが、ほんとうは突如、襲ってきた「無常観」によるものだと言います。

 

 

こういう人生観もあるのだ、しかも長年にわたって持ち続ける人がいることに驚きました。改めて、人それぞれ、いろいろな考え方、人生観があるものです。

 

 

そしておそらく、『定年バカ』の著者である勢古浩爾さんの人生観相通ずるものがあるのだと推察されます。

 

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

 

1.六十八歳の私

 

2.世捨て人サラリーマン

 

3.軟着陸への模索

 

4.輝ける黄昏

 

 

5.食べたい魚は自分で釣ろう

 

6.犬賛歌

 

7.彼岸への準備

 

8.老愚の遺言

 

 

 

この本の冒頭で著者は、航空会社を57歳で早期退職して、約10年間の「定年後生活」を過ごしていることを紹介しています。

 

 

 

そしてそれは、「一生で一番楽しい時期」だと述べています。なぜなら、以下のような嫌なことが一切ないからだそうです。

 

 

◆ 眠くて無意味な会議で欠伸を噛み殺す必要がない

 

◆ 嫌な奴とつき合わないですむ

 

◆ 葬式も行かない

 

◆ 大人数の会合はすべてお断り

 

 

 

実際の生活は、自分で釣った魚と、狭い庭で育てた野菜や果物を利用して、満足のいく食生活を送っている、ということです。

 

 

さらに、具体的なある1日のスケジュールを以下の通り、公開しています。

 

7時半   起床

8時    座禅、般若心経読経、腰痛体操、真向法

8時半   食事(パン、カフェオーレ、自家製ジャム3種類、ネーブルオレンジ)

9~9時半  拭き掃除(寺院では作務と呼ぶ)

10時頃  ゴミを燃やす、庭を見回る

11時頃  読書

11~12時  青竹踏み

13時   昼食(玄米と自分で釣ったスミヤキの干物、芹のお浸しなど)

14時半~16時  読書あるいは庭仕事

16時   散歩、腰痛体操、真向法

17時   入浴

18時   夕食(韮粥、蕗のとう味噌、自家製梅干しなど)

19時   テレビで野球観戦

22~23時  就寝

 

 

いかにも健康に良さそうな規則正しい生活で、まさに「心の赴くまま」なのでしょう。

 

 

とくに食生活については、お寺の精進料理を思わせる、質素で旬に拘った「健康食」のイメージです。

 

 

これに週に1度の釣りと、月に1度の東京・山谷におけるボランティア活動が加わるそうです。

 

 

この後、本書では、著者が人生の中で重視して時間やエネルギーを注いできた、以下の活動について詳しく書かれています。

 

 

◆ 渓流釣り、海釣り

 

◆ 野菜を育てること

 

◆ 自ら収穫した魚、野菜、果物の料理

 

◆ 犬を飼って育てること

 

◆ 自らの持病(胆管炎)との付きあい方、医師への対処法

 

 

 

この本の最後には、「老愚の遺言」として、次のようなアドバイスが記されていて参考になります。

 

 

◆ 夫婦共通の趣味は、定年になってからは慎重に

 

◆ 釣りについては、①よい船宿を選ぶ、②よい先達を選ぶ、書物を盲信しない、④家族に喜ばれる釣り師になる

 

◆ 園芸については、果樹は慎重に、野菜も完全な無農薬は難しい

 

◆ 犬を飼う決心をする前には、外出についてよく考えること

 

 

 

この本を読むと、人生のこだわりというものや、それを実践している著者の意志の強さを感じます。趣味にはいろいろな領域がありますが、著者の渡辺さんは、人類が本来持つ、本能に根ざした以下の3つを採り上げたのだ、と言います。

 

 

1.狩猟

 

2.漁業

 

3.農耕

 

 

狩猟については、犬を飼うことで代用している、という解釈だそうです。

 

 

あなたも本書を読んで、「定年後の人生」について、改めて考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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