うつ病になって苦しみ、長いトンネルを抜けた人たちを取材して、回復する過程での心の変化を描いた本があります。
本日紹介するのは、小池一夫劇画村塾(神戸校)第一期生で、『ミスターカワード』で漫画家デビュー、以後、アニメ化される人気漫画でも知られるようになった田中圭一さんが書いた、こちらの書籍(漫画ストーリー)です。
田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(角川書店)
この本は、10年近く続いた、長い「うつのトンネル」を抜けた漫画家の田中圭一さんの自らの体験と、同じようにうつに苦しんで、そこから抜け出した経験を持つ人たちを取材して、心の変化やそのきっかけをまとめたものです。
本書は以下の20話による構成で作られています。
1.田中圭一の場合①
2.田中圭一の場合②
3.田中圭一の場合③
4.照美八角の場合
5.折晴子の場合
6.大槻ゲンジの場合
7.深海昇の場合
8.戸地湖森奈の場合
9.岩波力也・姉原涼子の場合
10.代々木忠の場合
11.宮内悠介の場合
12.鴨川良太の場合
13.精神科医ゆうきゆうの場合
14.ずんずんの場合
15.まついなつきの場合
16.牛島えっさいの場合
17.熊谷達也の場合
18.内田樹の場合
19.一色伸幸の場合
20.総まとめ
まずこの本の第1話から第3話に出てくる著者の田中さん自身の「うつのトンネル」から抜け出した経験は、10年近くにわたって悩んでようやく見つけた脱出法なので、圧倒的なリアリティと説得力を持って、読者の心に響いてきます。
心の動きと、その経緯が漫画ストーリーに載せて描かれているので、イメージも湧きやすく、よく理解できます。とくに著者が体験から発見した以下の分析・方法は印象に残ります。
◆ うつの原因は「自分をきらいになったこと」
◆ 「自己嫌悪」はうつへの大きな「引き金」になる
◆ まるで脳が「濁った寒天」のように「もや」がかかってボーっとする
◆ 自分を好きになればいい
そして、著者の田中さんは、「うつのトンネル」から抜け出す方法として、次の4つのステップを見出しました。
1.ありのままの自分を受け入れよう
2.「・・・・・ねばならない」という考え方は棄てよう
3.ネガティブな言葉はやめて自分をほめよう
4.アファーメーション-朝目覚めた時「自分をほめる言葉」を唱える
実際にこの方法で、田中圭一さんは「うつ」を抜け出しましたが、ある日突然、「うつ」がぶり返すことがある、と言います。その原因として、分析の末に発見したのが以下のような事象です。
◆ 激しい気温差
◆ 季節の変わり目である3月、5月、11月に「うつ」は多い
◆ 気圧が下がる
また、著者の田中さんは、自身が「うつ」を抜け出すきっかけとなった本として、次の精神科医がうつを克服した方法を記した書を紹介・推薦しています。
田中さんの本では続いて、著者が「うつ」を抜け出した経験を持つ人たちにインタビュー取材したストーリーが漫画で展開されています。
「うつ」と言っても様々なケースがあり、自分や家族、友人など周囲の「うつ」で悩む人たちと共通の症状や、その克服法がきっと見つかるのではないか、と思います。
とくに次のような経験談は参考になります。
◆ パニック障害
◆ 不安神経症
◆ 森田療法
◆ 双極性障害Ⅱ型
◆ 元気の素(セロトニンなど)の不足
◆ 視点逆転
◆ 多重人格
◆ いかに健康的なナルシズムを取り戻すか
◆ 被害妄想
◆ 認知の歪み
◆ 自覚のない「ステルスうつ」
◆ うつは「心の風邪」ではなく「心のガン」
そして本書の最後では、総まとめとして、「うつ」の原因と、それを克服した人たちの共通項が、次の通り記されています。
1.うつの原因は、「自分をきらいになる」から
2.うつになってしまったら、「自分を否定するもの」から遠ざかり、「自分を肯定してくれるもの」に近づこう
3.小さな達成感を得られる「なにか」を見つけよう
言い換えると以下のようになります。人間は、本質的に、
◆ 自分が好き
◆ 肯定されたい
◆ 必要とされたい
これに抗うと心が弱る、ということなのです。
あなたも本書を読んで、うつトンネルを抜けた人たちから、その克服法を学んでみませんか。
速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊読むビジネス力アップ読書法「17の秘訣」』 を無料で差し上げます。ご請求はこちらをクリックしてください!
https://jun-ohsugi.com/muryou-report
では、今日もハッピーな1日を