書評ブログ

『年寄りは集まって住め~幸福長寿の新・方程式~』

「高齢期にも光と影の側面があります。大切なのはこの両面を正確に捉えた上で、高齢期の変化への備えや付き合い方、自分らしい暮らし方を冷静に思考し、実行に移していくこと」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1964年生まれ、京都大学教育学部卒、株式会社リクルートコスモス(現・株式会社コスモスイニシア)で、組織人事および広報を担当、退社後に組織人事コンサルタントを経て、2010年より高齢社会に関する研究活動を開始、現在はNPO法人「老いの工学研究所」理事長川口雅裕さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

川口雅裕『年寄りは集まって住め~幸福長寿の新・方程式~』(幻冬舎ルネッサンス新書)

 

 

この本は、30年に及ぶ高齢期をどう生きるべきかという歴史上なかったテーマに、初めて向き合っている世代の方々に敬意をこめてエールを送っている書です。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.「幸福な健康長寿」を実現するには?

2.高齢者たちの姿や声に学ぶ

3.現代の高齢者は、どのような人たちか?

4.高齢期の幸福について-健康、お金、親子関係

5.高齢者が集まって暮らすことによる価値

6.幸福な高齢期に向かって

 

 

この本の冒頭で著者は、高齢者の意識変化が起こり、死や老いが忌み嫌われ、避けられる対象から、高齢者にとっては向き合う対象として少しずつ変わってきている、と述べています。

 

 

続いて本書では、次の「幸福長寿の方程式」を提唱しています。

 

どこに住むか(安全な家+人がいる環境)× どう暮らすか(健康習慣)= 幸福長寿

 

つまり、幸福で健康な長寿を実現するには、「どこに住むか」という生活環境の問題と、「どうやって暮らすか」という生活スタイルや習慣における問題の二つが大いに関係している、ということです。

 

 

この本の前半で著者は、「高齢者たちの姿や声」および「現代の高齢者」について紹介・解説しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 高齢期を幸福に暮らすポイントは、「切り替え」「たな卸し」「自己超越」

◆ 高齢者四つの思いは、①高齢期の楽しみ、②死、③医療や諸制度、④人生最後の居場所

◆ キレる高齢者が失っているのは「世間」

◆ 男性高齢者に欠けている第2の「生活力」(思考力・決断力)

 

 

本書の中盤では、「高齢期の幸福(健康・お金・親子関係)」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 高齢期に幸福感が上昇するのは、①離脱、②活動、③継続、④最適化、⑤発達、⑥老年的超越(幸福のU字カーブ)

◆ 本当の健康寿命は85歳(65歳まで生きたらあと20年)

◆ 身体的な若返り、知能は衰えない

◆ 高齢期の六つ課題(①体力や健康の衰え、②引退と収入の減少、③配偶者の死、④同年代の人々と親密な関係、⑤社会的・市民的義務、⑥身体的に満足できる生活環境

◆ 幸福な高齢期への四つのステップ(①再評価段階、②解放段階、③まとめ段階、④アンコール段階)

 

 

この本の後半では、「高齢者が集まって暮らす価値」について考察しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 住宅双六のゴールは「郊外の庭付き一戸建て」ではなく、高齢者住宅への住み替え

◆ コロナ禍で見えた「高齢者のみ世帯」の危うさ

◆ 幸福感は「健康」「人間関係」に次いで「自己決定度」に影響を受ける

◆ デンマークで提唱された「高齢者福祉の三原則」(①生活の継続性、②自己決定の尊重、③残存能力の活用)

 

◆ リロケーション・ダメージは神話で、環境変化への適応力は高い

幸せの四つの因子(やってみよう、ありがとう、何とかなる、ありのままに)

◆ 幸せは伝染する

◆ 高齢者住宅「中楽坊」で暮らす高齢者の当事者意識と主体性

 

 

本書の締めくくりとして著者は、「幸福な高齢期に向かって」というテーマで、著者の理想を述べています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 高齢期の幸福は「集合的幸福」

◆「期待される」高齢期を

◆ 高齢期は本当に心豊かで裕福な時間

◆ 加齢現象と病気は違う

 

 

あなたもこの本を読んで、理想的なシニアライフを送ってみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2602日目】