書評ブログ

『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』

具体と抽象を往復すること、つまり抽象化と具体化によって発想を豊かにするとともに、日ごろ私たちの身の回りで起こっているコミュニケーションギャップを解消することを目的に書かれた本があります。

 

 

本日紹介するのは、1964年神奈川県生まれ、株式会社東芝で技術者として勤務の後、アーンスト&ヤングギャップジェミニ等で欧米系コンサルティング経験を経て2012年より株式会社クニエ コンサルティングフェロービジネスコンサルタント著述家細谷功さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

細谷功『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』(PHPビジネス新書)

 

 

この本は、「具体と抽象」の重要性を説明したのちに、具体とは何か、抽象とは何か、さらにそれらの間を行き来する抽象化及び具体化とはどのようなことか、について解説しています。

 

 

本書は以下の9部構成から成っています。

 

1.はじめに

2.なぜ具体と抽象が重要なのか?

3.具体と抽象とは何か?

4.抽象化とは?

5.具体化とは?

 

6.「具体⇔抽象ピラミッド」で世界を眺める

7.言葉とアナロジーへの応用

8.具体と抽象の使用上の注意

9.おわりに

 

 

この本の冒頭で著者は、人間の知的能力と知の発展モデルの説明をしています。「横軸」が知識や情報の量的な拡大で、「縦軸」が本書のメインテーマである具体と中小の軸で、下から上に抽象度が上がっていきます。

 

 

この「縦軸」である「抽象⇔具体」の上下運動、「抽象概念を操作する」ことは、理解している人が限られ、それは「本を読まない人と読む人の二極化」、「AIに使われていく人とAIを活用していく人の二極化」と重なる、と著者は言います。

 

 

つまり、「抽象概念に興味を持つ人のリトマス試験紙」が明白になってきた、とも言えるのです。

 

 

また、「具体⇔抽象」という軸で眺めると、世の中が変わって見えてきて、SNS上の「永遠の不毛な議論」から抜け出せるし、日常のコミュニケーションギャップを解消してストレスを減らすことができます。

 

 

本書の前半では、「なぜ抽象化と具体化が必要なのか」という Why、つまりその重要性が解説されています。主なポイントは以下の通り。

 

◆「具体化と抽象化」とは、自分の頭で考えるための方法論(正解がない)

◆ 抽象病とは、口だけでアクションにつながっていないこと

◆ 具体病とは、言われたことをそのまま実行するだけで応用が利かない、環境変化に適応できない

◆ 抽象化と具体化を組み合わせたものが、「根本的な問題解決」

 

◆「持ち家か賃貸か?」は、抽象化すれば「所有か利用か?」であり、「ストックかフローか?」の違いになる。

◆ サブスクリプションの商品と考えると、雇用されている会社員は、毎月新鮮な価値を提供してくれるというサブスクのサービス条件と同じになる

◆「お金」という抽象化、デジタル化はビジネスの抽象度を上げた

◆ 不毛な議論の多くは、「具体と抽象のズレ」から来る

 

 

この本の中盤では、「具体と抽象とは何か?」「具体化や抽象化とは何か?」、および「具体⇔抽象ピラミッド」で世界を眺めることについて考察されています。著者が挙げるポイントは次の通りです。

 

◆ 具体は、個別・特殊・五感で感じられる・個々の属性

◆ 抽象は、集合・一般・五感で感じられない・二者以上の関係性や構造

◆「具体⇔抽象ピラミッド」は末広がりで、川上の抽象から川下の具体への流れ

◆ 抽象度が上がる=全体を見る(俯瞰する)

◆ 枝葉の具体、幹の抽象

 

◆ 抽象化とは、「一言で表現する」こと

◆ 抽象化とは、「都合のいいように切り取る」こと

◆ 抽象化とは、「目的に合わせる」こと

◆ 抽象化とは、「捨てる」こと

 

◆ 抽象化とは、「自由度を上げる」こと

◆ 安定期の具体、変革期の抽象

◆抽象化とは、「Why を問う」こと、「メタで考える」こと

◆ 抽象化能力と知識量は直接相関しない

 

◆ 具体化とは、How を問うこと

◆ 具体化とは「自由度を下げる」こと

◆ 具体化には横の力(知識や情報量)が必要

◆「例え」と「喩え」は違う

 

◆ 具体的な依頼と抽象的な依頼

◆ 4種類のバトンの渡り方

◆ 具体⇔抽象ピラミッドで仕事を考える

◆ 具体と抽象に見る「プロの条件」

 

 

本書の後半では応用編として、「言葉とアナロジーへの応用」および「具体と抽象の使用上の注意点」について解説しています。主なポイントは次の通り。

 

◆「言葉」は人類が抽象化によって生み出した最大最強のツール

◆「言葉」による「切り取り方」は無限にある

◆ アナロジーとは、類似のものから推し量ること(類推)

◆ 抽象化された特徴のレベルの「目に見えない類似点」を探すことがアナロジーに必要

 

◆ 一般に対極と思われることが紙一重なのが「折り曲げの法則」

◆「完成度重視」か「スピード重視」か

◆ ラーメン屋の上流⇒下流モデル(質⇒量)

◆ 座標軸を持つこと、前提条件を明確にすること

 

◆ 中小の世界は「見える人にしか見えない」

◆ 抽象化が得意な人は人の話を聞けない

◆ 抽象度の高いメッセージを出すのは本にしかできない

◆ 本で伝えたいのは「抽象化した汎用性の高いモデル」だが、説明には具体例を用いる

 

 

この本の最後で著者は、「具体⇔抽象のための思考力を決定的に分けるのは『能動性』だ」と述べています。

 

 

そして、能動性が成否を決める世界では、「残酷な二極化」が進展する、と著者の細谷さんは付け加えています。

 

 

つまり、今後の世界では「自ら能動的に考える力」の差によって、「AIを使う側」になるか「AIに使われる側」(=AIやロボットが作る仕組みに組み込まれる)になるかが決まっていくのです。

 

 

あなたも本書を読んで、「具体⇔抽象」という概念を、今後の人生を「自ら能動的に考える力」で切り開いていくための武器にしませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2591日目】