都市の研究に熱中するのは、それがおもしろく、重要で、しばしば困惑するような問いを投げかけるからだ、と述べている書があります。
本日紹介するのは、マンハッタン生まれでハーバード大学教授(経済学)のエドワード・グレイザーさんが書いた、こちらの書です。
エドワード・グレイザー『都市は人類最高の発明である』(NTT出版)
この本は、多くの人が集う都市は、それだけ多くの機会を提供し、それがさらに人を引きつけること、また人のつながりを通じて新しい文化や事業や娯楽を生み出し、それがさらに人をひきつけることを指摘しています。
人間を人間たらしめているすべてのものは、都市への人口集中で生まれている、と著者は言います。
すなわち、誰も思いつかなかった新しい発想、新しい仕組み、そして都市そのものが作り出す問題の解決策も都市が生み出した、ということです。
では、都市はなぜ発展するのか。著者の答えは単純明快で、「都市は、アイデアを生産することで発展する」ということです。
アイデアやイノベーションに関するあらゆる文献で述べる通り、アイデアというのは、何もないところから生まれるものではない。
その相当部分は、既存のアイデアや技術の組み合わせで生じる。都市は人々が密集させ、近接させることで、相互作用の機会も増やします。
それは、各種アイデアや技術の組み合わせを生じさせることになり、新しいアイデアやイノベーションの機会も増します。
こらは産業でも文化でも料理でも、すべてに言えることだ、と著者は言います。
だから都市で最も重要なことは、産業、文化、その他あらゆる面で多様性を保つこと、そしてそれらが接触し、混じり合う状況をたくさん作り出すことだ、と本書では提唱しています。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.バンガロールの産物は?
2.なぜ都市は衰退するのだろう?
3.スラムのよいところ
4.貧困者住宅の改善方法
5.ロンドンは豪華リゾートか
6.高層ビルのすばらしさ
7.なぜスプロールは拡大したか?
8.アスファルトこそ最高のエコ
9.都心の成功法
10.結論-フラットな世界に高層都市
本書では、都市のプラス面だけでなく、マイナス面にもスポットを当ててきちんと考察し、その上で都市の勝利と、都市と人類の未来について述べている点が、類書にはない圧倒的な信頼感が伝わってきます。
事例として採り上げて言及している都市も多岐にわたり、世界で注目されている都市は以下のように概ね網羅されています。
◆ バンガロール
◆ シリコンバレー
◆ デトロイト
◆ ロンドン
◆ ニューヨーク
◆ パリ
◆ ムンバイ
◆ 東京
◆ シンガポール
◆ ミネアポリス
◆ ミラノ
◆ バンクーバー
◆ シカゴ
◆ アトランタ
◆ ドバイ
先進国では現在、人口減少と高齢化に伴い都市の縮小が課題になっている地域も多い。一方で、発展途上国の多くはますます都市への人口集中が進んでいるのに、それに対応できるだけの都市整備がまったくできていません。
本書を読めば、そうした都市のそれぞれの段階における課題と解決策を考えるための大きなヒントが得られるでしょう。
あなたも本書を読んで、「人類最高の発明」とも言われる「都市」について、改めて深く考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を