「東京と地方の格差が問題だ」とする世論が多い中で、「東京一極集中こそが日本を救う」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、都市政策の専門家で政府の審議会委員などを歴任している市川宏雄さんが書いた、こちらの書籍です。
市川宏雄『東京一極集中が日本を救う』(フェィスカヴァー携書)
この本は、これまで「均衡ある発展」を金科玉条に推進してきた日本の国土政策・都市政策について、グローバル経済が急速に世界に浸透してきた1980年代から、疑問を持ち始めた著者が、新たな都市政策を提唱している書です。
1990年代のバブル崩壊に始まる日本経済の「失われた10年」あるいは、「失われた20年」により、これまでの政策を大きく転換せざるを得なくなっている、と著者は言います。
大都市への人口集中は、日本だけでなく世界的な傾向で、ニューヨーク、ロンドン、パリなど世界の主要都市も、軒並み人口を増やし巨大化してきています。
その背景には、現代社会の中心をなす第三次産業が、集積により投資効率を上げるという動かしがたい経済合理性があります。
したがって、都市への「一極集中」は、全世界的な潮流なので、東京一極集中もその流れの中で自然であり不可避である、というのが本書の主張です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.東京一極集中という「歴史の必然」
2.東京が沈めば地方が沈む
3.国際都市間競争の時代
4.リニアが日本地図を書き換える
5.二度目のオリンピックは何をもたらすのか
6.東京にすべてを集めて大丈夫なのか
本書ではまず、集中の弊害として、以下のような論点を紹介しています。
◆ 地価高騰
◆ コミュニティーの崩壊
◆ 人口空洞化
◆ 居住環境の劣化
◆ 環境の悪化
◆ インフラ整備不足の恒常化
◆ ユーティリティーの不足
◆ 災害発生危険度の増大
◆ 社会病理の発生
◆ 廃棄物処理の困難
その一方で、地方における過疎・衰退があり、人材不足と高齢化が深刻になっています。
そして、地方経済の風化と中央依存体質の固定化、さらに技術・情報の偏在化という問題から、日本経済・社会システムの不安定化がもたらされると懸念されています。
そうした中でもなお、東京への一極集中が進むのは、世界における「都市間競争」により、経済の中心となっている第三次産業の国際競争力強化の問題がある、ということです。
今後、東京が世界の「都市間競争」の中で、世界一の都市をめざすのにあたって、以下の3つの課題がある、と著者は指摘しています。
1.経営者からの評価の低さ
2.インフラの一斉老朽化
3.超高齢化
本書の最後には、「リニア中央新幹線の開業」と「東京オリンピック・オパラリンピック」により、日本地図を書き換えるほどのインパクトがある、と本書では提起しています。
具体的にどう書き換わり、また東日本大震災における教訓も踏まえて、今後どのような点に留意して都市政策を推進すべきかが記されていますが、興味ある方はぜひ、本書をお読みください。
あなたも本書を読んで、今後の都市政策について考察を深めてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を